『天久鷹央の推理カルテ V 神秘のセラピスト』

知念実希人天久鷹央の推理カルテ V 神秘のセラピスト』(新潮文庫nex
安定の(短篇集+長篇合わせて)七作目。中身は第一巻から一年も経ってないので、小鳥遊くんがたいして成長してなくても仕方ないのであった(笑)。過去作の登場人物が再登場するところが新機軸かな。「魅力的な謎」にきちんと医学的説明がつくけど、ミステリとしての評価をあまり聞かないのは、読者が解けるだけの手掛かりが事前に提示されないからかなあ。

実写化なら安達祐実がいいな、と密かに思っているよ。制服も似合うし。

『わたしのげぼく』

上野そら・作/くまくら珠美・絵『わたしのげぼく』(青雲社)
こういうテーマというか、猫が上から目線というのはけっして目新しいものではないにせよ、「ゆっくりくるがよい。」で、じーんと来てしまいましたよ。

しかし、あちらへ行ったら複数の猫が「こいつはわたしのげぼくだ」「いや、わたしのげぼくだってば」と取り合いになるのかなあ(笑)。

『毎日かあさん(14)』

西原理恵子毎日かあさん(14)卒母編』(毎日新聞出版
1巻から読んできた読者として、まずは完結おめでとう。
「卒母」って、何?と首をひねるわたし。自分とは“母”の定義が違うんだろうなあ、子どもを育てる、世話をするだけが母の仕事じゃないでしょう。子どもたちが自立したら、困ったときには帰って来れる港のようでありたいです。
がんじくんの大学合格の報告が一番きゅんときた。あと、表紙に大きく鴨ちゃんがいるのもうれしい。

ま、うちは中身が一生“小2”の障害者がいるから、卒母なんてしたくてもできないんだけどねー。

『横濱エトランゼ』

大崎梢『横濱エトランゼ』(講談社
横浜は大好きな街。自分が神奈川出身なので土地勘もあり、でも歴史は意外と知らないことも多く勉強になった。
ただ、全体的に説明が多すぎるというか、もっと視覚に訴える部分(印象に残る場面、ということかな)があっても良かったのでは。千紗の恋模様の描写も、本筋の片手間な感じでちと残念。

『満願』

米澤穂信『満願』(新潮文庫
様々な人物、様々な舞台を自在に操って物語を構築する作者の力量のすごさよ。また、本格ミステリの醍醐味は傍点にあり、と改めて実感した次第。
お気に入りは「死人宿」「関守」。怪奇な雰囲気が好きなんですな自分(笑)。

『よるのばけもの』

住野よる『よるのばけもの』(双葉社
冒頭、かいぶつに変化してゆく描写がものすごく良かったので、大いに期待したのだが、うーむ‥自分好みの物語では無かったなあ。
視野が狭い主人公でもちっとも構わないんだけど、その後ろに控える作者にはもっと広い視点を持ってもらいたい。伏線と思わせるような部分も投げっ放しだし。残念。