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『アクロイド殺し』

アガサ・クリスティ『アクロイド殺し』(ハヤカワ文庫─クリスティー文庫) だーいぶ前に某氏のネタばらしエッセイを見てしまい、あららら‥だったのだが、でもそれでも充分楽しめた。実は、読むのはこれが初めてのクリスティ作品(^^;)。短い章立て、分かりや…

『羊と鋼の森』

宮下奈都『羊と鋼の森』(文春文庫) ああこれは、多くの凡人に対する“救いの書”だなと思った。人生を賭しても良しと思える何かに出会ってしまった“持たざる者”はどうすれば良いか。「こつこつ、こつこつ」「続けていく」そうなんだよね。感謝の気持ちでいっ…

『使用人探偵シズカ』

月原渉『使用人探偵シズカ 〜横濱異人館殺人事件〜』(新潮文庫nex) 表紙と帯と、辻真先さんのTwitter感想読んで購入。最初は、不気味な絵画、雰囲気ある館、「わー館シリーズっぽい?」「暗黒館や奇面館っぽい?」とわくわく読んでて。新潮文庫nexというレ…

『ねほりんぱほりん ニンゲンだもの』

『ねほりんぱほりん ニンゲンだもの』(マガジンハウス) 番組をテキスト化した部分は、動画に遠く及ばない(細かいニュアンス、端折りすぎ)けど、記録としてはまあ楽しめた。この本の真骨頂はむしろ、巻末の裏舞台レポート。人形、すごいわ〜。 “ブタモザ…

『人間の顔は食べづらい』

白井智之『人間の顔は食べづらい』(角川文庫) うわー、クローンが出てくるからそこは予想してたけど、そっちもかあ、見事にダマされた(あれ?と思う部分がなきにしもあらずだけど)。別解にもまんまと振り回された。人間シリーズ、この先も期待。

『天久鷹央の推理カルテ V 神秘のセラピスト』

知念実希人『天久鷹央の推理カルテ V 神秘のセラピスト』(新潮文庫nex) 安定の(短篇集+長篇合わせて)七作目。中身は第一巻から一年も経ってないので、小鳥遊くんがたいして成長してなくても仕方ないのであった(笑)。過去作の登場人物が再登場するとこ…

『わたしのげぼく』

上野そら・作/くまくら珠美・絵『わたしのげぼく』(青雲社) こういうテーマというか、猫が上から目線というのはけっして目新しいものではないにせよ、「ゆっくりくるがよい。」で、じーんと来てしまいましたよ。 しかし、あちらへ行ったら複数の猫が「こ…

『毎日かあさん(14)』

西原理恵子『毎日かあさん(14)卒母編』(毎日新聞出版) 1巻から読んできた読者として、まずは完結おめでとう。 「卒母」って、何?と首をひねるわたし。自分とは“母”の定義が違うんだろうなあ、子どもを育てる、世話をするだけが母の仕事じゃないでしょ…

『横濱エトランゼ』

大崎梢『横濱エトランゼ』(講談社) 横浜は大好きな街。自分が神奈川出身なので土地勘もあり、でも歴史は意外と知らないことも多く勉強になった。ただ、全体的に説明が多すぎるというか、もっと視覚に訴える部分(印象に残る場面、ということかな)があって…

『満願』

米澤穂信『満願』(新潮文庫) 様々な人物、様々な舞台を自在に操って物語を構築する作者の力量のすごさよ。また、本格ミステリの醍醐味は傍点にあり、と改めて実感した次第。お気に入りは「死人宿」「関守」。怪奇な雰囲気が好きなんですな自分(笑)。

『よるのばけもの』

住野よる『よるのばけもの』(双葉社) 冒頭、かいぶつに変化してゆく描写がものすごく良かったので、大いに期待したのだが、うーむ‥自分好みの物語では無かったなあ。視野が狭い主人公でもちっとも構わないんだけど、その後ろに控える作者にはもっと広い視…

『装幀室のおしごと。2』

範乃秋晴『装幀室のおしごと。2 〜本の表情つくりませんか?〜』(メディアワークス文庫) 誰がラブコメ路線を走れと(笑、面白かったからいいですよ。もっとやれ)。第一章はちと間延びした印象が否めなかったが、第二章後半の緊迫感はなかなか。予想でき…

『君の膵臓をたべたい』

住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉文庫) これは素晴らしいっ。デビュー作なのか、すごいなあ。 ヒロインの造型が素晴らしい、これに尽きる。遠くない将来の死を知り、でも今は日常を生きていかなくてはならない。親は嘆くばかりで頼りにならない(これ…

『ある日うっかりPTA』

杉江松恋『ある日うっかりPTA』(KADOKAWA) 自分もPTAの経験があるので、文中の「(PTAの常識 その○○)」にはいちいち「そう!あるある!」と大きくうなずきながら読んでいた。拘束時間多いし、一所懸命やればやるほど蟻地獄のように仕事が降ってくるし…

『読書で離婚を考えた。』

円城塔+田辺青蛙『読書で離婚を考えた。』(幻冬舎) web連載中は「Yome Yome メオトドクショリレー」だったのが、またえらくカゲキな題名に(つーか別に考えてないじゃん離婚!)。せめて「。」じゃなくて「?」にすりゃよかったのに。まあたしかに連載中…

『キネマ探偵カレイドミステリー』

斜線堂有紀『キネマ探偵カレイドミステリー』(メディアワークス文庫) 「映画+ミステリ」というキーワードと、三上延さんの推薦文に惹かれて読んでみたものの‥うーむ‥。地の文のクドさに辟易とするも、それは徐々に慣れたよ。ただミステリ色は薄いし、映画…

『装幀室のおしごと。』

範乃秋晴『装幀室のおしごと。〜本の表情つくりませんか?〜』(メディアワークス文庫) 思いがけない驚きがあったので二度読み。これは面白かった!(デビュー作でもないのに、視点がブレる箇所はいただけないが) お仕事小説としての蘊蓄は知ってる話が多…

『妻が椎茸だったころ』

中島京子『妻が椎茸だったころ』(講談社文庫) 題名と表紙に惹かれて購入。おお、泉鏡花賞受賞作だったか。最初の一篇こそ着地点に驚いたが、あとはまあストーリー的には想定内。意外性に驚かされるというよりは、少しずつ違う場所に連れて行かれる雰囲気。…

『ようこそ授賞式の夕べに』

大崎梢『ようこそ授賞式の夕べに』(創元推理文庫) これは面白いっ。成風堂書店×明林書房、まさかのコラボが実現。書店大賞(本屋大賞がモデルなのは明白)の実情も、元書店員の大崎さんならではのバランスの取れた描き方で、すごく納得。二つのパートが交…

『ビブリア古書堂の事件手帖(7)』

三上延『ビブリア古書堂の事件手帖(7) 栞子さんと果てない舞台』(メディアワークス文庫) うわあ、大団円(^^)。すごく、収まるところへ収まった感あり。オークションの盛り上がりもさることながら、過去作の登場人物が絶妙に絡んできたりと、シリーズを読…

『背表紙は歌う』

大崎梢『背表紙は歌う』(創元推理文庫) いきなり強烈なキャラが登場してドキドキ、作家と読者の邂逅にハラハラ、なぞなぞにワクワク。今回もとても面白かったよ、ありがとうひつじくん。

『平台がおまちかね』

大崎梢『平台がおまちかね』(創元推理文庫) 綾辻さんと浩子さんの名前が両方出てくるなんて、それだけでこの本は特別な一冊! ‥という極々私的感想はともかく(笑)。 出版社営業って、どちらかと云うと本の作り手(作家とか編集とか)と敵対する位置付け…

『自薦 THEどんでん返し2』

乾くるみ・大崎梢・加納朋子・近藤史恵・坂木司・若竹七海『自薦 THEどんでん返し2』(双葉文庫) たしかに、最初に見えていた(と思わされていた)風景が別物に変わる瞬間はあるのだが、「どんでん返し」と銘打つからには、もっともっと派手にひっくり返し…

『ニャアアアン!2』

鴻池剛『鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!2』(KADOKAWA/エンターブレイン) 我が家も先月秋に生後2ヶ月の子猫がやってきて、いやもう、人も先住猫たちもめっちゃ振り回されっぱなしなので、ものすごーく共感しながら読みました。(しかも模様が、ぽんた…

『栃木のうまいラーメン 2017ー2018』

『栃木のうまいラーメン 2017ー2018』(ニューズ・ライン) 雑誌風な本にしては864円とお高いんですけど、付録の“ラーパス”を何度か使うとあっという間に元は取れるので無問題。 去年は20店制覇しました。今年は「金のラーパス」をもらえる条件が50→30店舗と…

『働く男』

星野源『働く男』(文春文庫) 前半の映画評がとくに秀逸。自分が観た作品も幾つか含まれていたが、感想がすごく近い。これはわたしにとって、とても参考になるぞ!(自分にとっての秀逸?まあともかく)てなわけで、未見の映画も順次観て行こうっと。 文庫…

『君の名は。Another Side』

加納新太(原作:新海誠)『君の名は。Another Side:Earthbound』(角川スニーカー文庫) 本筋の隙間を埋めるスピンオフは大好きなので、いそいそと手に取った本書。瀧と四葉の話は“おっぱい”ばかりで、今イチ。勅使河原の話は、彼のバックボーンが分かって…

『秒速5センチメートル』

新海誠『小説 秒速5センチメートル』(角川文庫) うわー、上澄みだけ、綺麗なとこだけ掬い上げたような物語。そもそも最初の章から、13歳が一晩家を空けたら大騒ぎになっていただろうに、その辺りがすっぱり抜け落ちていてモヤる(もちろん小説に書かない…

『そして生活はつづく』

星野源『そして生活はつづく』(文春文庫) 星野源に注目したのは逃げ恥‥より前、自分の場合は映画「地獄でなぜ悪い」。他の人の映画評で「彼の役、なくてもいいんじゃね?」なんてのを目にして、いるでしょ!これはフツーの男・橋本公次(役名)の成長物語…

『中国嫁日記(六)』

井上純一『中国嫁日記(六)』(KADOKAWA) ブログを読んでいたときから、もしかしたら‥と思ってはいたのだが、牛角の一件が霞んでしまうほどの辛い話。でも、今の幸せがあるからこそ描ける話で、それは本当に良かったなと。お互いを責めない夫婦の姿は(脚…