「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」

評判を聞き、気になっていたところに再放送のお知らせ(2011年10月)。わあっと色めき立ったものの、録画するのをころっと忘れて、結局はDVDにて鑑賞。
辻真先さんが「『あの花』の最終話まで観了した。いやー良くできてますねーという段階ではない。より深く広い世界を、アニメ宇宙内部に構築した。絵と声、演出と脚本が渾然一体に雪崩こむ結びの場面、見る者の胸を打ち砕く。」とツイートされていて、さらに期待は高まったのだが‥

大感動した人ゴメンナサイ。自分はあんまりノれませんでした、正直なところ。
 
 
 
細部はとてもよく描けていると思うんですよ。緑豊かな町の光景とか、秘密基地の造形とか。花火(「龍勢」と云うらしい)を打ち上げるシーンは大好きだし、音楽もすごくいい(自分の感動の8割はOPとEDの音楽によるもの、のような気がする)。でもなあ‥
・芝居がいちいちクサすぎる。声優さんの問題ではなく、キャラの動かし方の問題。今ハッとしました、言葉を飲み込みました、ためらってます、そういう細やかな感情のひとつひとつを、人物の動作と声で丁寧に説明され、鬱陶しくなったこと多数。
・で、やたら丁寧な描写をしている一方で、緩すぎな箇所も。例えばじんたんは最初の頃、「自分にはめんまが見えるけど、それは幻。他のみんなに知られたら、キワモノ扱いされるに違いない」と思ってるはずなのに、めんまに話しかけられても徹底無視しないんだよね、みんなの前で。なんでだ。
・1クール全11話の長さでやるような話じゃない。映画の尺(90分〜120分程度)でギュッと作ってあったら、だいぶ評価が上がったかも。
・「めんまのお願い」という謎で引っ張るも、結果がいまひとつハッキリしないのでカタルシスも得られない。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」という題名の意味すらよく分からない。
めんまが亡くなったのが小1、現在は高1、という設定だとして(違ったらゴメン)、六歳の頃の淡い恋心を、みんながみんな十年も引きずってるって、どうよ??ひとりならまだ分からないでもないが、ポッポ以外の四人ともでしょ。なんだかなあ。死んじゃっためんまはともかく、十年前と現在、そのふたつの「点」の間に、小学校時代、中学校時代と、五人の間に当然横たわっているはずの時間が、このアニメの中ではちっとも感じられないのだ(じんたんの母の死とか、少しは出てくるにせよ)。事件以来引っ越しちゃって久しぶりに故郷に戻って来た、というわけでもないだろうに。
・小学校上がるか上がらないかの頃の付き合いだったら、互いの家を行き来して、親も当然他所の子たちを知ってるわけで。そんな中で「あなる」なんて子どもが呼んでたら、誰か大人が注意すると思うぞ。これが「秘密基地内だけで使うコードネーム」だったら分かるんだけど。
・最終回、あんなに全員に滝の涙を流されちゃ、こっちは逆に引いてしまいました。
・十年前、突然の山津波で秘密基地が呑まれ、めんま以外の全員が死んでしまった。この物語は「みんなにもう一度逢いたい!」と強く願っためんまが見た、一夜の夢の物語。‥という結末を、見ている途中で考えました。全然違いましたね(笑)。