2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「ハサミ男」

原作は2000年に読んだっきり、あえて再読しないで映画館へ。で、観終わってから再読。 ほお、かなり原作に忠実な映画化だったんですね(チープだと思った警察の描写も、実は原作のまんま)。もちろん、小説ならではのネタは映画用にアレンジしてあるけど、原…

『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』

052(小説) 江國香織『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』(集英社文庫) うわあ、参ったなあ、物語と自分の周波数が妙に合ってしまって。今の自分はまさに「安全でも適切でもない」不安定な状態なんだなあと、認識(って別に不倫とかしているわけじゃ…

『しっぽの国のビビビ』

053(絵本) 加藤タカ『しっぽの国のビビビ』(文渓堂) この人の絵は大好きなんだけど、色遣いは昔の方がいいかなあ。デジタルになってからはピンク系がカラフルすぎる感じ。その点今回は夜のお話なので、色合いが落ち着いていて良かった。お話もカワイイし…

『月読』

051(小説) 太田忠司『月読』(文藝春秋) 「月読」「月導」この設定がとにもかくにも素晴しい!(ほれぼれ)。終盤は本格ミステリ・マスターズらしく「おおっ、そう来たか」と身を乗り出す場面も。でも一番心に残ったのは克己の炯子、二人のシーンかな。大…

『となり町戦争』

050(小説) 三崎亜記『となり町戦争』(集英社) 印象を一言でいうと「さらさらさら」、でも水のさらさらではなく砂のさらさら、肌にザラつきが残る感じか。戦争を事業として扱う感覚は、以前別な本で体感したことがあったので、目新しさは感じなかったが、…

『名探偵 木更津悠也』

049(小説) 麻耶雄嵩『名探偵 木更津悠也』(カッパ・ノベルス) 4つの短篇の中では「禁区」がお気に入り。文章が不親切で、込み入った物語を理解するのに少々骨が折れたが、ラストで意外な絵が浮んできて、わーそういうお話なら好きだぞ私(誤読かもしれな…

『パズラー』

047(小説) 西澤保彦『パズラー』(集英社) レベル高っ!まさしく“論理のアクロバット”、心ゆくまで堪能した。悪意に満ちた登場人物たちも、私はけっこう好き。さらに特筆すべきは、文章の技巧の高さ。「贋作「退職刑事」」はもちろんのこと、文章も人物造…

『エミリー』

048(小説) 嶽本野ばら『エミリー』嶽本野ばら(集英社文庫) 表題作を夕方台所で読んでいたら、すっかり打ちのめされてしまって、その晩のおかずがめっきり質素になってしまったという(笑)。でも、どん底にあっても心の拠り所を見つけて必死に生き抜いて…

「センセイの鞄」

わあ、原作のまんまだ。 要所要所のセリフと場面を取り出し、つないで。初めから終わりまで、ドラマは原作に忠実に進む。存在そのものが、まんまツキコさんの小泉今日子。原作よりは多少みっともなく、でもその分リアルに70歳のセンセイを演じきった柄本明。…

「海を飛ぶ夢」

「泣かせる映画」ではなく「考えさせられる映画」だ。 映画の中では、尊厳死を肯定も否定もしていない。主人公の一生を、実話に則して忠実に絵にしただけ。ラモンと彼を取り巻く人々の日常を、日記を綴るように静かに、暖かく、ユーモアを交えて描いている。…

『センセイの鞄』

046(小説) 川上弘美『センセイの鞄』(文春文庫) この人の書くものは、品があっていいなあ。最後の二章の展開にびっくり。ドラマもぜひ観てみたいぞ。 (新潮文庫版)

『闇のなかの赤い馬』

045(小説) 竹本健治『闇のなかの赤い馬』(講談社ミステリーランド) 血塗られた馬が猛り狂って向かってくるシーンがものすごく印象的。この恐怖の煽り方といい、作品全体に漂うそこはかとない透明感といい、綾辻さんの囁きシリーズを彷佛とさせる。やはり…