2005-01-01から1年間の記事一覧

『フォア・フォーズの素数』

100(小説)竹本健治『フォア・フォーズの素数』(角川文庫) うわあ、綾辻さんの「文章」がお好きな方に、これはおススメかも。私は、一人称が「ボク」の作品がとってもとっても好き。

『ぶたぶた』

099(小説)矢崎存美『ぶたぶた』(徳間デュアル文庫) 日常に溶け込んだ“ぶたぶた”の存在が実にユニーク。「初恋」のインパクト、「銀色のプール」の心地よさ、心に残るシーンは数々あれど、最終章の「桜色を探しに」には脱帽。そうかこういうお話だったの…

『さいえんす?』

098(エッセイ)東野圭吾『さいえんす?』(角川文庫) 著者は不満をただ述べるだけでなく、自分なりの解決策まできちんと提示してくれるので、とても納得できる。そうか作家の世界は相撲部屋システムだったのか。でもこの『さいえんす?』って題名はいかが…

『実験小説ぬ』

097(小説)浅暮三文『実験小説ぬ』(光文社文庫) ぬるくしたカップラーメンはどう使うのだろう、という疑問はさておき(笑)、わっはっは、よくこんなこと考えつくなあ。奇想を小説たらしめるその腕前に感服。

『着信アリ2』

096(小説)秋元康『着信アリ2』(角川ホラー文庫) 『着信アリ』の結末ネタバレから始まるので読む順番には注意。内容は‥ううむ、行き当たりばったりな展開だなあ。怖いシーンはちゃんと怖いので、もったいない気が。

『バカ日本地図』

095(実用書?)一刀『バカ日本地図』(技術評論社) 以前からその存在は知っていて(サイトはこちら)、基本的に「WEB上でタダで読めるものに、わざわざお金は払わんよ」な私なのだが、本屋で立ち読みしたらあまりに面白くてつい買ってしまった。外伝はよう…

『れんげ野原のまんなかで』

094(小説)森谷明子『れんげ野原のまんなかで』(東京創元社ミステリ・フロンティア) 本を大切に思う気持ちが全編に満ちていて心地良かった。子どもからお年寄りに至るまで、幅広い年齢層の登場人物たちが的確に描かれている点にも感心した。ミステリの度…

『魔王城殺人事件』

093(小説)歌野晶午『魔王城殺人事件』(講談社ミステリーランド) これは面白い!先だって行ったアンケートではさほど票が集まらなかったが、私は今まで読んだミステリーランドの中で(全作読んだわけではないが)一番ワクワクさせられたぞ。昨年のうつの…

『少女には向かない職業』

092(小説)桜庭一樹『少女には向かない職業』(東京創元社 ミステリ・フロンティア) 不安定で浮き沈みが激しくて、そんな中学生の心情がうまく描かれていたと思った。島の、夏と冬の情景描写も印象的。ワゴン車の中のシーンが好きだな。 (文庫)

『やっぱり猫が好き』

091(脚本)もたいまさこ・室井滋・小林聡美『やっぱり猫が好き』(幻冬舎) もともとの脚本は三谷幸喜さんで、ビデオから台詞を起こした物をシナリオとして再構成したのも、三谷さん。なので「三谷幸喜著」と云ってもいいような気が。私の大好きな「はまぐ…

『ゴーレムの檻』

090(小説)柄刀一『ゴーレムの檻』(カッパ・ノベルス) 難解‥ではないのだが、スケールが大き過ぎて私の手には余る、といった印象。でも、どう考えても不可能だろうと思える魅力的な謎を打ち砕く本格魂は、美しいと思った。「太陽殿のイシス」がお気に入り…

『着信アリ』

089(小説)秋元康『着信アリ』(角川ホラー文庫) 長女さんに薦められて読み始めたものの、小説の体をなさぬレポートのような文章に最初は「うっ」となった。が、物語は結構面白いし、怖い。そこそこ辻褄が合っているし、後半は思わぬ展開もあるし。題名の…

加納朋子・菊池健『ななつのこものがたり』

088(絵本)加納朋子・菊池健『ななつのこものがたり』(東京創元社) 加納さんのデビュー作『ななつのこ』(創元推理文庫)に出てきた本を実際に作っちゃった‥のだとばかり思っていたのたが、微妙に違った。駒子ちゃんファンにはたまらない一冊かと。P62,63…

「ALWAYS 三丁目の夕日」

昭和33年の東京の町並みをそっくりそのまま再現したVFXがとにかく凄い。路面電車の走る大通りから臨む空の、なんとまあ広いこと(今は高層ビルで埋めつくされているからね)。この昔の風景を大画面で実体験するだけでも映画館に足を運ぶ価値アリ。特に、遠景…

『犬はどこだ』

087(小説)米澤穂信『犬はどこだ』(東京創元社ミステリフロンティア) うわあ、めちゃめちゃハードボイルド。後半どんどん物語が加速していくのがすごかった。 (文庫)

『旧宮殿にて』

086(小説)三雲岳斗『旧宮殿にて』(光文社) 「二つの鍵」以外は比較的易しいトリックで、でも人物も情景もとても活き活き描かれているので、読んでいる間とても楽しかった。カタカナの名前が苦手な人でも、この小説は大丈夫よ。 (文庫)

『女王様と私』

085(小説)歌野晶午『女王様と私』(角川書店) 帯に「問題作」とあるけど、どこら辺が? 至ってフツーの小説に思えたぞ、私は。本文以外にも仕掛けがあるところはニクいね。装幀が、イラストといい帯とのバランスといい素晴らしい(でもこの女性、誰よ?)…

『半熟探偵団』

084(漫画)我孫子武丸×河内実加『半熟探偵団(1〜3)』(秋田書店) 探偵養成学校という設定は、ちと「何だかなあ」って思わなくもないけど、まあいっか。話がデカくなっちゃう後半よりは、小ネタの多い前半が好き。伊勢崎クンの意外なボケっぷりが気に入っ…

『cat's-paw』

083(漫画)野間美由紀『cat's-paw』(秋田書店) 微細な超能力を持った面々が集って、という設定を聞いてコンゲームのような展開を予想していたので、ちと肩透かし。でも、人の心の機微は上手に描かれていると思った。

『アヒルと鴨のコインロッカー』

082(小説)伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』(東京創元社ミステリ・フロンティア) えーん、読んでて辛くて仕方がなかったよお。坂道を転がるようにどんどん悪い方へと転がっていく物語をどうすることもできないもどかしさ。でも仕掛けにはびっく…

『タイム・リープ あしたはきのう』

081(小説)高畑京一郎『タイム・リープ あしたはきのう』(メディアワークス) 面白かった〜(^^)。「本格ミステリ・クロニクル300」にも入っている本作だが、本格そのものというより、本格好きな人の喜ぶ要素がたくさんあるって感じかな。パズルのピー…

『容疑者Xの献身』

080(小説)東野圭吾『容疑者Xの献身』(文藝春秋) 一人の男が知力の限りを尽くして組み上げた精緻なトリックに驚愕し、論理の枠に収まりきれずに溢れ出す人間の感情に心を揺さぶられた。ちりばめられた多数のパズルのピースがひとつ残らず回収される様も…

『黄昏ホテル』

079(小説) e-NOVELS編『黄昏ホテル』(小学館) 作家20人によるオムニバス企画。特に印象に残ったのは「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」「神輿と黄金のパイン」「タイヤキ」「セイムタイム・ネクストイヤー」「悪い客」。オチのある話、笑えて心暖まる話が好…

「スウィングガールズ」

子どもや女の子の出てくる映画は私のツボなので、期待していた一本。どうせ何度も観ることになるからと、劇場公開を見送ってDVDの方を購入。 DVD発売当初、お店で予告編は何度も見たのだが、ストーリー的にはあの予告編で全て語られていたという(笑)、その…

『前田建設ファンタジー営業部』

078(専門書?)前田建設工業株式会社『前田建設ファンタジー営業部』(幻冬舎) ウェブ企画を本にしたもので、HPで全部読めるし写真もあちらはカラーだし、でもすっごく面白くてうちの子どもにも読んでもらいたいなと思ったので、本も買っちゃった。知らな…

『誰のための綾織』

077(小説)飛鳥部勝則『誰のための綾織』(原書房) 題名が上手いなあ。物語のトーンがシリアスだったり えげつなかったりホラーだったりコミカルだったり‥と定まらないのが気になった(高校生の習作という設定だからしょうがないか。ホラー調の部分が一番…

「シン・シティ」

「すげえっ、こういう感じでぜひ、綾辻行人『殺人鬼』の映像化を!」 ‥という感想は私だけだろう(笑)。冒頭にちらっと映った原作漫画の絵にまず心奪われっ。光と影のコントラストがめちゃめちゃカッコいいったら。原作読んでないけど、すごく完成度の高い…

『ラインの虜囚』

076(小説)田中芳樹『ラインの虜囚』(講談社ミステリーランド) これは楽しい冒険譚!でもどこがミステリ?と思いきや、最終章で意外な真相が。おお、なるほど〜。子どもの頃『鉄仮面』も『巌窟王(=モンテ・クリスト伯)』もわくわく読んだことを思い出…

『神様ゲーム』

075(小説)麻耶雄嵩『神様ゲーム』(講談社ミステリーランド) 麻耶さんがこんなに“書ける”方だったとは、正直びっくり。今まで読んだミステリーランド(小野・殊能・太田・竹本・西澤・倉知・麻耶)の中で、描かれている少年の心理や言動が現実の彼らと最…

『かたみ歌』

074(小説)朱川湊人『かたみ歌』(新潮社) 「ま、いつものノスタルジックなホラーファンタジー路線なんだろうな」「最近鬼のように各小説誌に書いていらっしゃるから、そう毎回毎回ハイレベルを期待したら悪いよな」と、軽〜い気持ちで読み始めたら、とん…