2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『ツナグ』

023 辻村深月『ツナグ』(新潮社) 女性、男性、若い人、年配の人、誰が語り手になっても、彼ら彼女らの心情が自然にこちらに届いてきて、辻村さんの書き手としての力量をまざまざと感じました。ラストの一篇から様々なことが見えてきて、彼の両親の死にまつ…

「ブラック・スワン」

物語はいたってシンプル。無駄に格調高くしたり難解にしたりせず、下世話で悪趣味に徹したところがいいと思いました。母親の庇護のもと、バレエしか知らずに育った籠の中の鳥のような、ナタリー・ポートマンの芝居がそりゃもう正確ど真ん中で素晴らしい。 (…

『工学部・水柿助教授の解脱』

022 森博嗣『工学部・水柿助教授の解脱』(幻冬舎) 文庫になるのを待ってたんだけど、なかなかならなかったので単行本を読みました。 久しぶりにこのシリーズを読みましたが、駄洒落の洪水に「わ、こんなだったっけ?」とびっくり(笑)。意外と時事ネタも…

『ゴーストハント(2)人形の檻』

021 小野不由美『ゴーストハント(2)人形の檻』(メディアファクトリー) 人形が‥とか、池に‥とか、怖いシーンが相変わらず私のツボにぴったりとはまり、ひえぇ〜と楽しみました。レギュラーメンバーたちの職業というか属性というか、作者の中ではそれぞれ…

『少女たちの羅針盤』

020 水生大海『少女たちの羅針盤』(原書房) 中高時代、演劇部に所属していたかつての少女(=私)は、彼女たちのパワーがとても身近に懐かしく感じられ、楽しく読みました。現代パートはちょっと芝居がかりすぎかなとも思ったけど、ミステリの仕掛けもなか…

『謎解きはディナーのあとで』

019 東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』(小学館) 真犯人までたどり着く道筋はシンプルで分かりやすい。けれど侮る事なかれ、伏線をひとつひとつ丁寧に拾って脇道をぷちぷち潰してゆく手練はまさしく本格のそれ。面白かったです。これきっとドラマ化され…

『写楽 閉じた国の幻』

018 島田荘司『写楽 閉じた国の幻』(新潮社) 写楽については教科書レベルの知識しかない私にとって、とても面白い読み物でした。よく調べたよなあ。知らないが故に、新説に接してもさほど驚きませんでしたが(冒頭を読んで想像した通りの結末に行き着いた…