2010-01-01から1年間の記事一覧

『竜が最後に帰る場所』

041 恒川光太郎『竜が最後に帰る場所』(講談社) 表紙が気に入って手に取った一冊。「夜行の冬」前半のほのかなユーモア、「鸚鵡幻想曲」の発想のすばらしさがとくに心に残った。ラストの一篇も「竜」という単語を全く出さずに物語を進めて行くところなど、…

『月と蟹』

040 道尾秀介『月と蟹』(文藝春秋) 自分の好きなものを書く、という作者の姿勢はけっして嫌いではないが、正直「またこの路線かいな」と、少々食傷気味。心が揺れて行動が揺れて、理路整然とはいかないのが人間で、まして子どもならなおさらではあるが、な…

本は見た目が何割?

この二冊、装幀担当は違う方なのだが、たまたま新刊の平台に並べて置いてあって。なにかの上下巻かと思うぐらい似ててびっくり。題名の字体とかほんとそっくりなんだよね。 大胆! イヤでも二冊まとめて買わねばなるまいて(笑)。

『味写入門』

039 天久聖一『味写入門』(アスペクト) レトロでチープ。狙ったわけではないのに撮れてしまった素人写真の数々に爆笑。コメントが上手い。白眉はじいさんの湯気かなあ(笑)。

『晩夏に捧ぐ』

038 大崎梢『晩夏に捧ぐ』(創元推理文庫) 幽霊騒ぎの奥に黒々と横たわる27年前の殺人事件、その謎が魅力的で、わくわく読み進んだ。途中、探偵役がちっとも真相を明かさないのは不自然なので、なにかしら必然性がほしかったが。元書店員ならではの、本屋に…

『桐島、部活やめるってよ』

037 朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』(集英社) 文章はけっして達者ではないが、とにかく瑞々しい。ひとつの出来事も、いろんな人物の視点から多角的に語られるのが面白い。男の子視点も女の子視点もとても自然に書かれている。なにより、桐島視点で語…

「インシテミル」

ソフトバンクのお父さんがとてもよかったです、まる(笑) あと、シャープな石原さとみは初めて見たので、なかなか新鮮だった。 あくまでも個人的感想だが、ホラーの人ではなく、ミステリに詳しい人に映画を作ってほしかったなあ、脚本も監督も。 (映画館に…

『三面記事小説』

036 角田光代『三面記事小説』(文藝春秋) 「実際にあった事件から発想を得て、短篇を書く」というコンセプトが気に入り、読んでみた。 家族や恋人への依存度がずいぶん高い人ばかり出てくるなあとは思ったけど、人のイヤな部分をていねいにていねいにえぐ…

「おまえうまそうだな」

原作の絵とずいぶん違うじゃん!なんでー。 草食恐竜と肉食恐竜、「可哀想だから助ける」ではすまされない、相容れない部分をきちんと描いているところに好感を持った。でも、このところの睡眠不足がたたって、途中うつらうつら(汗)。頭の中では、犬夜叉が…

『天使の眠り』

035 岸田るり子『天使の眠り』(徳間書店) 二時間サスペンスの筋書きのように、すらすら読めた。とあるキーワードが過去に関わってくるあたり「なるほど!」と。でも、真相を犯人の一人称で書かれると、驚きは半減してしまうなあ。

「BECK」

原作は未読。キャスティングはかなりいい線いってたみたいですね。俳優業引退かと話題になった(実際は続けるらしいですが)水嶋ヒロの演技を一度スクリーンで観てみるかー、と行ってきたんだけど、まあ彼もそれなりに良かったけど、むしろ佐藤健がよかった…

『七人の敵がいる』

034 加納朋子『七人の敵がいる』(集英社) 子どもが三人いる私は、今勘定してみたら、PTA活動には八年間(!)携わった(この先まだ増えるかも)。子供会の会長もやった。合間に自治会の班長もやった。うーむ、けっこう頑張ってんじゃん自分。というわけで…

『秘密(8)』

033 清水玲子『秘密(8)』(ジェッツコミックス) ええと、「みんな誰もが薪さんスキー」って話なのか?(笑) 新キャラの山本さんは、なじむまでもうしばらくかかりそう。

『ふたりの距離の概算』

032 米澤穂信『ふたりの距離の概算』(角川書店) 古典部二年生のキャラが全くブレないのは嬉しいな。カボチャの真相には「ほう!」と驚き、招き猫にはなぜかハラハラドキドキし(笑)。ちょっとしたことが伏線になって効いてくる日常の謎は、この作者ならお…

『“文学少女”見習いの、卒業。』

031 野村美月『“文学少女”見習いの、卒業。』(ファミ通文庫) 表紙の「泣いてない菜乃ちゃん」を見ただけでもう、泣けちゃう私ってどんだけ入れ込んでるんだか(笑)。子どもよりよっぽど病んでる大人が出てくるのはこのシリーズのデフォルトなんで(笑)ま…

『MM9』

030 山本弘『MM9』(創元推理文庫) 原理や理論まで踏み込んで考えられた強固な骨格が(完全には理解できなかったけど)いかにも本格SF。「怪獣」(太古から巨大異生物がいたというパラレルワールド設定でこのネーミングはどうかと思うが)の種類も様々あっ…

「トイ・ストーリー3」

「1」「2」は未見。子どもとおもちゃ、というつながりだけでなく、そのおもちゃ同士が家族、という発想が面白いなあ。悪役のキャラが最後までブレないのが、個人的には嬉しかったぞ。しかし、3Dにした意味はあったのだろうか。 ところで所ジョージは、本…

「着信アリ」

終盤の廃病院のあたりからはちょっと長かったかな。でも、映像の何気ない間の取り方が抜群に上手くて(エレベーターのシーンとか)、しっかり怖がらせてくれるところは、さすが三池崇史監督。 (DVDで鑑賞 028)

「着信アリ Final」

二番どころか三番煎じ、高をくくって観始めたんだけど、「転送すれば死なない」という発想がすごく良くって、思いのほか楽しめた。パムの正体は予想がついたけど、堀北真希は上手いなあ。一方、黒木メイサは今ひとつ演技が単調。 (DVDで鑑賞 029)

「マイ・ブラザー」

トビー・マグワイア、ジェイク・ジレンホール、ナタリー・ポートマン。三人の演技は実に見応えがあった。複雑な思いの長女ちゃんも可愛かったなあ。ところで祖父自慢の息子である兄、はみ出し者の弟、兄の彼女。この構図は「エデンの東」と同じだね。(以下…

「借りぐらしのアリエッティ」

これは好きー。大好き! ラスト、主題歌が流れてくるあたりで、思わず涙ぐんじゃうほど好きだったよー。 原作は未読。小人というとむしろ自分は、佐藤さとるの「コロボックル」を思い出す。小人の生活がとても丁寧に描かれているところは、両者共通。でも、…

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』

029 万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(ちくまプリマー新書) 出会いや別れ。子どもの成長。ほのぼのとたくましく、これはいいお話。ちょっとした仕掛けも微笑ましかった。 直木賞候補になり、選考委員にはさんざんな云われようだったらしいが、こ…

本は見た目が何割?

オカヤイヅミさんのカラフルなイラストがとても綺麗。 米増由香さんの繊細なイラストが素敵。でも、松たか子の顔写真入り帯のほうが目立っているのはどうかと(笑)。 これはねえ‥実際に読んでみたら感想が変わるかもしれないんだけど、中身が額縁みたいにな…

「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」

一番よかったのは犯人役のキャスティング。一番のガッカリは、真下くんのキャラ崩壊(すんません、個人的意見で)。踊るシリーズは初期の連続ドラマからほぼリアルタイムで観ていて、思い入れも強いです。以下、背景と同色で。 (↓ここから)・前回の映画か…

「パラノーマル・アクティビティ」

もっとドコドコ暴れろよー>悪魔(笑)。本気で怖がる彼女と、好奇心&“オレが守っていいとこ見せたい”気満々の彼氏との溝が徐々に広がっていくイヤ〜な感じのさじ加減は上手いな。でもさんざん構えて観てるのに、ギャーなシーンがほとんどないんだもん。一緒…

「プレシャス」

世の中を渡っていくための最強の武器は「教育」なのかな。学歴とかそういうことではなく、最低限の読み書きそろばんでもいい、それができる環境で自分を正しく認識すること、そこがスタート。最初に聞いてた設定以上に苛酷な運命に翻弄される主人公だが、映…

「アウトレイジ」

北野武作品を劇場で見るのは、実は初めて。「あの夏、一番静かな海」をDVDで観たときは、音楽は抒情的なのに物語はカラッと乾いたなんともいえない間合いで、それが印象に残った。今回の映画も、指が飛んだり突然銃をぶっ放したり、暴力シーンはかなり容赦な…

『月の恋人』

028 道尾秀介『月の恋人 Moon Lovers』(新潮社) ちょっとキラめくエピソードをつなげるだけじゃ小説にはならないよ、と前半は思った。ただ、シュウメイの軽率な行動とストーカーとか、メロンの収穫とか、各々のエピソードが後半きちんとつながって来るとこ…

「エルム街の悪夢」

あんまり怖くて叫びっぱなしだった気が(笑)。観終わったあとは疲労困憊、まっすぐ立てないほどでした(おいおい)。寝ちゃうと夢の中で襲ってくる、という設定がいいね。とにかく恐怖が休みなし。CGを含めた特殊効果も本物と見まごうばかりでよく出来てい…

「シーサイドモーテル」

予測の範囲内でストーリーが進んでいくのが物足りなーい。額の写真も別に必然性ないし。でも、役者はけっこう達者な人がそろっていたので、最後まで楽しめた(個人的には、玉山鉄二がイチオシ)。小島聖ってあんなにデカかったっけ? (映画館にて鑑賞 020)