2007-01-01から1年間の記事一覧

『月光ゲーム』

079(小説) 有栖川有栖『月光ゲーム』(創元推理文庫) 火山弾が降りそそぐ状況は派手だけど、解決編はカタルシスというよりは、しーんと静まり返る感じ。ああでも、まさしくこれぞ本格ミステリ。いいもの読みました。

『北村薫のミステリびっくり箱』

078(企画本) 北村薫『北村薫のミステリびっくり箱』(角川書店) 昔の探偵作家たちもいろんな企画に興じていたんだね。貴重な音源が聴けるのは乱歩が遺してくれたからこそ。そしてそれを我々が楽しめるのは、戸川さんや北村さんが居てくれたからこそ。感謝…

「XXエクスクロス魔境伝説」

館内は、私を含めてたった三人。これで映画がめちゃめちゃ怖かったらどうしよう、と震えていたけど、途中から爆笑拍手喝采モードに(映画館なので自粛してましたが)。B級アクションを堪能した。鈴木亜美の蹴り、カッコイイ! 小沢真珠、凄すぎ!(昔はただ…

『紙魚家崩壊』

077(小説) 北村薫『紙魚家崩壊』(講談社) なんとも味わい深い短篇集。最後の一篇が、エッセイですか?駄洒落ですか?と思ったら行き着くところはしっかり本格ミステリ。紙の上に文字を並べただけで、小説家はこんなこともあんなこともできてしまうのね、…

「ALWAYS 続・三丁目の夕日」

レディースデイだったので、周りは妙齢のおばさまばっかりでした。 なに?関東大震災‥じゃないよね時代違うし、の冒頭シーンから凄いのなんのって。持ってる映像技術を如何に見せるか、という点においては満点じゃないかなあ(飛行機はリアルすぎて、前回の…

『クワイエットルームへようこそ』

076(小説) 松尾スズキ『クワイエットルームへようこそ』(文春文庫) 映画と同じく、テンポの良さが心地いい。とても深刻な話なんだけど、筆致はからっと明るい。もうちょっと暗いところがあると、さらに物語が立体的に浮かび上がるんじゃないかな。

『ぼくのメジャースプーン』

075(小説) 辻村深月『ぼくのメジャースプーン』(講談社ノベルス) 罪とか罰とか、とても重くて深いテーマに真っ向から取り組んだ作者の真面目さは大いに買いたい。秋山先生とぼくの授業がもう少し論理的に整理されて書かれていたら、ラストの驚きがさらに…

『ソロモンの犬』

074(小説) 道尾秀介『ソロモンの犬』(文藝春秋) 空をぽーんと5mくらい飛びましたよ、やられたね。最初のほうの「ある一行」をもっと活かすストーリー、キャラにすれば最上級のミステリになっただろうに、そこが残念。でも、犬の習性を絡めた謎と展開に…

「新世紀エヴァンゲリオン 劇場版」

新劇場版の興奮冷めやらぬまま、過去のテレビシリーズを順に視聴。その後、旧劇場版も見たのでその感想を。 「DEATH & REBIRTH シト新生」 テレビシリーズをそのままの順番で総集編にするのではなく、新たに組み替えた試みは面白いかと。しかし、こんなとこ…

『凍りのくじら』

073(小説) 辻村深月『凍りのくじら』(講談社ノベルス) 頭でっかちな主人公だなあ、とても真面目に書いているのは分かるけど長いよなあ、などと思いながらよいしょよいしょと読んでいたけど、お母さんが‥のあたりからページを繰る手が止まらなくなる。途…

「クワイエットルームにようこそ」

めちゃめちゃ身につまされたです。 八方ふさがりのぐちゃぐちゃな精神状態になった時は、大の字に寝っ転がって天井の蛍光灯を見て、この映画を思い出そう、そう決めました。ひとりでもちゃんと生きていかなくっちゃ、うん。願わくは、その時五点拘束されてい…

『怪談集 花月夜綺譚』

072(小説)集英社文庫編集部編『怪談集 花月夜綺譚』(集英社文庫) 題名の「怪談」にふさわしく、どれも語り口が滑らかで読んでいて心地よかった。ほとんどが時代ものなのだが、恩田さんの作品だけがとっても妙。とてつもない。でも怖くて一番好きー。

『1950年のバックトス』

071(小説) 北村薫『1950年のバックトス』(新潮社) ホラーあり、駄洒落(笑)あり、心がじんわり温まる話あり、これは素晴らしい掌篇集。中には一読しただけではピンとこない話もあったけど、文章が巧みで、読んでいる間すごく充実した時間を過ごさせても…

『遠まわりする雛』

070(小説) 米澤穂信『遠まわりする雛』(角川書店) 読み終えると春が来る(^^)。謎解きとしてはあっさりめの短篇が多いが、「心あたりのある者は」「あきましておめでとう」は、うおおこれぞ本格!な気分を味わえた。

『北極ライフ』

069(写真集) 谷山浩子/ナショナル ジオグラフィック『北極ライフ』(日経ナショナル ジオグラフィック社) 映画「北極のナヌー」のフォトブック。帯の言葉「しろくまもラクじゃない。やさしい気持ちになれるフォトブック」というのは、正直見当外れもいい…

『捨て色』

068(小説) 玉岡かおる『捨て色』(角川文庫) 「色の名前」が好きな自分が、題名に惹かれて手に取った一冊。 人生や恋愛って勝ち負けだけじゃないと思うんだけどなあ。そんな中、お気に入りの一篇を選ぶとしたら「浅葱色の海を見ている」かな。「からくれ…

『ミサイルマン』

067(小説) 平山夢明『ミサイルマン』(光文社) 血と汚物にまみれた手で、甘い甘いラブストーリーや、魂の洗われるような青春グラフィティーを紡ぎ出す。チクショウ、やっぱスゴイや平山夢明。「それでもおまえは俺のハニー」「ミサイルマン」が特に好き。

『片耳うさぎ』

066(小説) 大崎梢『片耳うさぎ』(光文社) すごく面白かった。少女の成長物語としても、ミステリとしても。古いお屋敷の色や匂いがもっと感じられると、さらに良かったな。

『片眼の猿』

065(小説) 道尾秀介『片眼の猿』(新潮社) 映像を思い浮かべながら小説を読む自分は、ええ思いっきりダマされましたとも。さり気ない伏線の仕込みとその回収の仕方が実に見事。寓意を含んだエピソード(片眼の猿とか鳩の話とか)は伊坂幸太郎ふうかな。ロ…

「めがね」

心ゆくまで、たそがれました(もちろんいい意味で)。 私も、サクラさんの自転車の後ろに乗ってみたい。かき氷を食べてみたい。メルシー体操、一緒にやりたい。 (映画館にて鑑賞)

『インシテミル』

064(小説) 米澤穂信『インシテミル』(文藝春秋) 寝不足やら暑さバテやら重なってた時期に読んだせいか、登場人物らの心理状態にすっかりシンクロしちゃって、「怖いよ勘弁してよここから出してー」状態に。数ページ読んでは本閉じてゼイゼイ‥って感じだ…

『今日の早川さん』

063(漫画) COCO『今日の早川さん』(早川書房) SFにも翻訳ものにも暗い自分だけど、本好きならではのネタで楽しめた。全ページカラーじゃなくていいから、もちょっと漫画をたくさん載せてほしかったな。余白多すぎ。

「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」

塩見三省、似合いすぎ(笑)。 タランティーノもノリがいいなあ。桃井かおりがむちゃくちゃカッコいい。その一方、主役は目立たなすぎ(笑)。動きはキレがあってかっこ良かったんだけどねー。 タイトルから笑えて(椎茸が飛んでるよ!)、また後半は、映画館…

「包帯クラブ」

原作は正直云って、まあまあかなって印象でした。でも、さすがは堤監督。冒頭、主人公がてくてく歩きながらの長いモノローグがあるんですが、ぜんぜんダレない。絶妙なカット割りで心地よい緊張感を保つテク。音楽もぴったりで、これはすごいなあと。本来ス…

『パズルゲーム☆はいすくーる(18)』

062(漫画) 野間美由紀『パズルゲーム☆はいすくーる(18)』 ついに白泉社文庫最終巻。やっぱり葉蔓高校を舞台にした話が、この漫画の原点なんだなあ。

『パズルゲーム☆はいすくーる(17)』

061(漫画) 野間美由紀『パズルゲーム☆はいすくーる(17)』(白泉社文庫) 安定した面白さ、でもミステリ的には先の展開の予想がつくレベル‥と思っていたら、「京都に消えた女」ですっかりヤラれた。

『新本格もどき』

060(小説) 霧舎巧『新本格もどき』(カッパノベルス) 新本格世代ど真ん中の自分にとって、こういう設定は面白くないわけがない(^^)。ただ、お話そのものは、一読しただけではすんなり頭に入ってこなかった。頭悪い読者ですみません。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」

気にはなりつつも、テレビ版は全く見ていませんでした。今回、劇場で初めて見て、 す、すげー。 なにこの映像。なにこの世界観。二時間スクリーンに釘付けでした。これはテレビ版も見なくては。ああ、次回作が待ち遠しいったら。 (映画館にて鑑賞。ちなみに…

『包帯クラブ』

059(小説) 天童荒太『包帯クラブ』(ちくまプリマー新書) なんか、包帯みたいにユルい話だなあと思いながら読んでいたけど、でも「救いたい救われたい」という気持ちはよく分かるなあ。映画のキャスティングはかなりハマっている気がするので、観るのが楽…

『悠悠おもちゃライフ』

058(エッセイ) 森博嗣『悠悠おもちゃライフ』(講談社文庫) 文庫でここまで写真が綺麗だと、単行本を買う必要性がますますなくなるね。一番印象に残ったのは、子供の頃の森さんの話。なんというか、未完成の「森博嗣」が垣間見えて面白かったのだ。今の森…