2006-01-01から1年間の記事一覧

『シャドウ』

073(小説)道尾秀介『シャドウ』(東京創元社) 痛くても最後まで読むべし。ちりばめられた物語の断片が、綺麗に拾い集められ閉じてゆく。上手いなあ。道尾さんの描く子どもが好き(悲惨なのが多いけどね)。

『クリスマス・プレゼント』

072(小説)J・ディーヴァー『クリスマス・プレゼント』(文春文庫) なるほど、被害者がくるりと加害者に、その逆も然り。どいつもこいつも裏がありそで面白かったなあ。表題作と「三角関係」「被包含犯罪」が特に印象に残った。

『犯行現場の作り方』

071(その他)安井俊夫『犯行現場の作り方』(メディアファクトリー) ミステリの舞台となった数々の館を紙上で再現。途方もない工事費用や建築基準法にそぐわない箇所など、矛盾点を指摘しつつも、あげ足取りになっていないところが素敵。原作への愛と敬意…

『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』

070(小説)西尾維新『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』(集英社) なんとまあ、見事に足もとをすくわれた。まるでカポエラ。原作を読むか、映画を観るかしないと楽しめない小説ではあるが、これ「本ミス」30位以内に入ってないの?…

『ピタゴラ装置DVDブック(1)』

069(その他)『ピタゴラ装置DVDブック(1)』(小学館) 豊かな発想、たゆまぬ努力。DVD収録時間は19分だが、2,940円払った価値はあり。私もスタッフの一員になってみたいなあ。

『死神の精度』

068(小説)伊坂幸太郎『死神の精度』(文藝春秋) 主人公の死神が淡々としているので、生死を扱っている物語なのにとてもあっさり。エスプリに富んだフレーズも思ったより少なめだった。ミステリ的には、各篇「おっ」と思わせる展開があるけど、やっぱりあ…

『DEATH NOTE(1〜12)』

067(漫画)大場つぐみ/小畑健『DEATH NOTE(1〜12)』(集英社) 既に語り尽くされていることとは思うが、月とLとの緊迫した頭脳戦がたいそう読みごたえあり。ノートを故意に捨ててしまうくだりはびっくりした。絵も、もともと上手いのが、巻を重ねていく…

「4TEEN」

小説がとても良かったので、ドラマ版も鑑賞。 えっ、柄本っちゃんの息子?たしかに目元が似てるね。あれ、でも夜ピクの高見くんは‥そうか兄弟とも俳優さんなんだ。へぇ〜。 月島というロケーションが最高。でも原作の短篇すべてを映像化しているのではなかっ…

「深呼吸の必要」

時間の流れ方がいかにも映画的。登場人物たちが背負っている過去の説明を最低限にとどめ、あとはひたすらさとうきびを刈っているだけ。でもそれが実にいいんだよね。 若者たちが抱えるそれぞれの事情。毎年都会の若者の手を借りなければ、きびの収穫もままな…

『骸の爪』

066(小説)道尾秀介 『骸の爪』(幻冬舎) 解決編にわくわく胸踊る本格ミステリ、久しぶりに読んだかも。スリット一本分ずらすと全く違う絵が表れる、縞々トリック絵のようだった。人物が活き活きと描かれているだけに、終盤の落差が悲しい余韻となって胸に…

『猫田一金五郎の冒険』

065(漫画)とり・みき『猫田一金五郎の冒険』(講談社) 脱力〜でも面白い〜。何なのこのコストパフォーマンスの悪い、紙の分厚い本は(おい)と最初思ったんだけど、なるほど終わりの歌留多に合わせたのね。その歌留多、四十七文字揃ってないし(おまけに…

『風が強く吹いている』

064(小説)三浦しをん『風が強く吹いている』(新潮社) ほぼ素人集団がいきなり箱根駅伝を目指すというトンデモ設定なのだが、言葉を尽くして書かれているのでその興奮がつぶさに伝わってくる。本当に才能を持った人って美しいよね、惚れ惚れしちゃうの分…

『まんねん貧乏』

063(漫画)得能史子『まんねん貧乏』(ポプラ社) 絵といい内容といい、まるで自分が描いてるみたい〜、と親近感がわいてつい買ってしまった。ちょっと余白多すぎ?(笑)、でもいいや、楽しかったから。暮らしのノウハウをもう少し読みたかったな。

『パスルゲーム☆はいすくーる(14)』

062(漫画)野間美由紀『パスルゲーム☆はいすくーる(14)』(白泉社文庫) 例えば犯人の予想はついても、さらにその先、動機にうならされたり、心理の綾に感心させられたり。人間を描くってこういうことだよね、脱帽。

『STAR SALAD 星の玉子さま2』

061(絵本)『STAR SALAD 星の玉子さま2』森博嗣(文藝春秋) 「1」に比べると衝撃度は低め、より広い読者層を想定したのかな。絵は完璧、線も色も上手すぎる。この本と出会えてホント良かった、でもこういう絵を描きたくても描けない自分が‥嬉しさ90%、悔…

『空中庭園』

060(小説)角田光代『空中庭園』(文春文庫) ほわほわを予想してたら全然違って あけすけで、でも冷たくはない、ぽこぽこした感じのお話だった(なんじゃそりゃ)。所詮は他人、なのに家族、ひとつ屋根の下に暮らしていたって、気持ちなんかちっとも伝わら…

「デスノート the last name」

観終わった後、原作のどの部分がそのままでどの部分が変えられたのか、自分で確かめたくなったのでコミックスも読んだ。 なるほどー、月とLとの対決一本に絞って物語を構成し直したのね。そうそう、こういう物語を私は観たかったのだ! 大犯罪で捜査が国際…

『三四郎はそれから門を出た』

059(エッセイ)三浦しをん『三四郎はそれから門を出た』(ポプラ社) 「エッセイがとても面白い」と常々評判を聞いていて、それプラス題名と装幀に惹かれて手に取った一冊。なるほど、何度も声に出してガハハと笑っちゃったよ。平等な視点と、物事に対する…

『背の眼』

058(小説)道尾秀介『背の眼』(幻冬舎) 著者と私、怖さのツボが似てるんじゃないかな、ホラーな部分の文章のリズムが絶妙で、とても楽しめた。読む前は地味に思えたタイトルが、今では怖いのなんのって。文章にただようそこはかとないユーモア、伏線を丁…

「ぼくんち」

原作が女目線(サイバラさん)で描いた物語だとしたら、映画は男目線(阪本監督)で撮った作品。別物だけど別物じゃない、これはこれでいいのかなあ。子役かわいかったし。鉄じいや末吉おっさんまんまだったし。 でも、観月ありさは原作みたいに、もっともっ…

「ブラック・ダリア」

デ・パルマの過去作品へのオマージュとも云えるシーンが色々あったね。階段とか、マッチとか。そうかベティとエリザベスは同一人物か(そんなところでつまずくなって)。 (映画館にて鑑賞)

『配達あかずきん』

057(小説)大崎梢『配達あかずきん』(東京創元社) そもそもの謎がちょっと無理矢理では?と気になる短篇もあったけど、書店の仕事がいろいろ分かるのが楽しかった。謎解きとサスペンス両方味わえる表題作が秀逸。装幀も無駄(?)に凝っていて、いいなこ…

『顔のない敵』

056(小説)石持浅海『顔のない敵』(カッパ・ノベルス) 今後、地雷のニュースに接する度、この小説のことを思い出すことだろう。ミステリとしても読みごたえあり。罪人を法律で罰しないのは正直抵抗あるけど、その辺りも含めて考えさせられる小説だった。…

『ボトルネック』

055(小説)米澤穂信『ボトルネック』(新潮社) キーワードは「想像して」。自分は最低だ、最低の状況にあると思っているそこのあなた、想像力を働かせて視点を変えてごらん──そう云ってくれてる小説だと思いました。私はラストを(以下ネタバレ、反転して…

『魂萌え!』

054(小説)桐野夏生『魂萌え!』(毎日新聞社) 萌え!というほど激しいお話ではなかったのが意外。若い世代には新鮮な題材かもしれないけれど、中年の私にとっては身近であるせいか「甘いなあ」と感じらた部分も。とはいえ500ページ近い分量を一気に読めち…

『独白するユニバーサル横メルカトル』

053(小説)平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社) コンクリートの殺風景な部屋、血しぶきに染まる壁、足下に散乱する血まみれの肉片、でも窓越しにほおを撫でていった一陣の風は、森林の奥、静かに水をたたえる湖を渡ってきた風のように…

『九杯目には早すぎる』

052(小説)蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』(フタバ ノベルス) たくらみはすごくいい、でも説明に文章を多く費やし過ぎている感じ。個人的には4篇のショートショートが俄然気に入った。著者にはぜひ、ミニミステリをライフワークにしていただきたい(稼ぎ…

「夜のピクニック」

ただ歩くだけ。それがちゃんと小説になっちゃうんだからすごいなあ、原作を読んだ時にはそう感じたものだ。 映画もいろいろと工夫されていた。ちゃちいお芝居調にしてみたり、アニメーションを入れてみたり。成功していたかどうかはよく分からないけれど(笑…

『川の名前』

051(小説)川端裕人『川の名前』(ハヤカワ文庫) 小学五年生の夏休みを一緒になって満喫して、楽しかったー! 少年たちの冒険はたしかに無謀で要領が悪く、だけど真剣で清々しいったら。キャラもそれぞれが魅力的でよかったなあ。一見何の変哲もない「川の…

『忌品』

050(小説)太田忠司『忌品』(トクマノベルス) 文章にはイメージに頼らない冷静さがあるのに、ストーリーはどこか不条理、不安定。後半に行くに従ってその「腑に落ちな」さが魅力に思えてきた。色っぽいシーンもけっこう上手いんだなあ、太田さん。