2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧
050(小説)太田忠司『忌品』(トクマノベルス) 文章にはイメージに頼らない冷静さがあるのに、ストーリーはどこか不条理、不安定。後半に行くに従ってその「腑に落ちな」さが魅力に思えてきた。色っぽいシーンもけっこう上手いんだなあ、太田さん。
049(小説)坂木司『仔羊の巣』(東京創元文庫) 市井の人々のちょっといい話は、宮部みゆきさんあたりのほうが遥かに上手いけど、謎と解決、その見せ方がわりと好き。キャラについては特に何も。
048(小説)桜庭一樹『少女七竃と七人の可愛そうな大人』(角川書店) ナナカマドの樹のトリビアが一番心に残った(おいおい)。文章も物語も、もう少し練られているほうが好みだな。 (文庫)
047(小説)大山誠一郎『仮面幻双曲』(小学館) トリックには大いに感心、伏線の拾い方もきちんしてるし。欲をいえば、昭和20年代という時代を感じさせる描写や会話をもっと盛り込んでほしかったな。途中、読者の関心をトリック以外の部分にも向けさせるこ…
046(漫画)西原理恵子『いけちゃんとぼく』(角川書店) 暖かい、包み込まれるようなマンガ。ラストは「へえ、そういう話だったのか」とちょっとびっくり。いけちゃんみたいなお母さんになれたら、いいなあ。
045(小説)坂木司『青空の卵』(創元推理文庫) 米澤穂信さんの作品がほろ苦いビターチョコだとしたら、こちらは甘々ミルクチョコか。謎を解決する糸口の見せ方とかひっくり返し方とかにセンスを感じた。それにしてもよく泣く主人公たちだなあ、自分の歪み…
044(小説)加納朋子『コッペリア』(講談社文庫) あくまで私の趣味で云うとだが、「ミステリ部分はなくてもいいや」と思ってしまったくらい、前半の人形を中心に据えた人間ドラマに心奪われた。ところで、蝋人形ならともかく、実在する人間にそっくりな球…
043(小説)『川に死体のある風景』(東京創元社) 『本格ミステリ06』では「おお、こんなところにも本格が!」的な、視野が広がる楽しみが味わえたが、このアンソロジーは本格ならではの醍醐味を堪能できた。トリックに感嘆したり、文章に翻弄されたり。こ…