『アヒルと鴨のコインロッカー』

082(小説)伊坂幸太郎アヒルと鴨のコインロッカー』(東京創元社ミステリ・フロンティア
えーん、読んでて辛くて仕方がなかったよお。坂道を転がるようにどんどん悪い方へと転がっていく物語をどうすることもできないもどかしさ。でも仕掛けにはびっくりさせられたし、何より「ための仕掛け」じゃなくて物語と密接に結びついた「必然性のある仕掛け」であることには、素直に感心。著者にしか書けないオリジナリティーあふれる作品であることも、大いに評価したい。
あとはもう自分との相性の問題なんだろうなあ。軽妙でカッコいいんだけど、軽々しくて癪にさわる、宝石と虫の死骸が一緒くたにポケットに突っ込んである、そんな印象なんだよね、伊坂ワールドって。
   (文庫)