「黒い家」

森田芳光監督は、原作物よりオリジナルの作品を撮ったほうがいいんじゃないかなあ。「乳」はもちろん(笑)、「ボーリング」も原作に無い映画オリジナルだったとは。それならいっそ全部オリジナルのほうが、ねえ。アイディア豊富なのは買うけど、一昔前なら「斬新」という褒め言葉につながった(かもしれない)様々な映像や音の遊びも、デジタル技術の普及した今となっては、イマイチ必要性の感じられない独りよがりな画に見えてしまって、なんだかなあと。
でも「黒い家」の造形は素晴らしかった。そして何より、大竹しのぶをキャスティングしたことがこの映画最大の功績であろう。彼女の黒目がちの眼は徹頭徹尾感情の揺れを見せず、さながらブラックホールのようだった。凄いわ。

(DVDにて鑑賞)