「天然コケッコー」

山下敦弘監督の作品を観るのは「リンダ リンダ リンダ」に次いで二本目だが、この監督、空気というかその場の匂いを伝えるのがとても上手いなあ。「リンダ〜」の時は、部室の隅っこのホコリっぽい匂いや学園祭の浮かれた雰囲気がとてもリアルに伝わってきた。今回も、春には春の草花が、夏には青々とした田んぼが、秋には揺れるススキが、冬には校庭を吹き渡る乾燥した風がきちんと時間をかけて撮影されていて(実際、二年の月日をかけて完成させた作品だそうだ)、だから観客もそよちゃんと一緒の空気を吸って一緒の時間を過ごしているような気持ちになれるんだね。物語は特に大きな事件もないまま淡々と進んでいくんだけど、素直に心に響いて最後まで飽きることがなかった。
地面からそっと響いてくるようなレイ・ハラカミの音楽も良かった。

(DVDにて鑑賞)