わたし、気になります 『遠まわりする雛』編

クドリャフカの順番』と『遠まわりする雛』、両方とも角川の単行本(ソフトカバー)なのに、微妙に大きさが違うのは何故?
旧家の一人娘に「える」なんてハイカラな名前をつけたのは誰だ?
‥という疑問はさておき。
大好きな短篇集なんですけど、いくつか「あれ?」と思った箇所を書いておきます。ネタも書いてありますので、未読の方はお気をつけて。



「やるべきことなら手短に」
定規を当てて黒のサインペンで。いつ書いたんだ?
頭脳労働も立派な労働。音楽室の謎に見当がついていなかったのならともかく、ついていたのなら、多少遠回りでも音楽室へ足を運ぶ肉体労働ほうが、バレたらやばいメモを忍ばせ隙をうかがう頭脳労働よりよっぽど楽、つまり省エネだと私は思ったけど。案の定、里志に「不慣れなやつほど奇を衒う」と指摘されたわけだが、奉太郎がこういう行動に出るのがもっと後ならともかく、四月のこの時期にというのはちと時期尚早に思えた。
「大罪を犯す」
数学の先生も大文字は使うよ、「三角形ABC」とか。
「正体見たり」
浴衣はハンガーには干さんだろう、袖をピンと伸ばして干さなきゃならないから。物干し竿か、和服専用のハンガー(旅館にはあるんじゃないか?)に、でもそれだと首吊りの影には見えないんじゃ‥と思ったけど、やったのが小学生だし、見つからないよう室内に干さなきゃならない状況だったから、まあいいのか。
「心あたりのある者は」
簡単に理屈がつかないことを証明するのに、なぜ理を尽くして推理するのか(笑)。逆でしょう奉太郎くん、できるとこじゃなく、できないとこを見せなくちゃ(分かってても黙ってるとか)。千反田さん相手だから、調子くるっちゃったのかな。
「あきましておめでとう」
・おみくじを「HELP」という形に切り抜き、財布にはさんで落とす。
・おみくじに、小さな穴をぷちぷち開けて「助けて」とかのメッセージを書き、財布にはさんで落とす。千反田さんは髪を結っているのだから、ヘアピンのひとつやふたつあるだろう、穴はそれで開ける。
・床の土をシャベルで少し掘り、その土で指先を汚しておみくじに字を書き、財布にはさんで落とす。
ほら、鈍い私でも解決策がこんなに浮かぶよ奉太郎くん。冴えなかったのは、寒さのせい?それとも密室に二人っきりだったせい?(笑)
「手作りチョコレート事件」
家に帰ったら、砕いたチョコのジグソーパズルを組み上げて、ちゃんと食べなさい里志くん(笑)。といっても、人の心は数学や物理のようにスパッと割り切れるものでもないからねえ、ましてや男女の仲をや。二年に進級して、摩耶花にいい寄る他の男子が現れたら、さあどうなるか。
遠まわりする雛
これに関しては、特に云うことないです。正月の千反田の「着物を見せびらかしたいんです」、そして今回の奉太郎の「千反田が見えない」。春だねえ。