『ペガサスと一角獣薬局』

020 柄刀一『ペガサスと一角獣薬局』(光文社)
北欧の澄んだ夜空に光る星のごとく、はたまた透明な湖水のごとく。人が亡くなったり傷ついたりする場面も当然出てくるのに、この美しさは、気高さはなんなのだー。幻想的な謎に思いっきり惹きつけられ、スケールのでっかい解法に度肝を抜かれ。それでいて動機や裏づけの緻密さもちゃんと併せ持ってるからすごいよなあ。探偵役の南美希風は、相変わらず凛としていてカッコいいし。あと解決場面の見せ方も上手く、自分もギャラリーのひとりとなって謎解きをわくわく聞いている気分にさせられた。
自分はどうも柄刀さんの文章と相性が悪いらしく、読むのにとても時間がかかったんだけど、それを差し引いても、素晴らしい純度100%の本格ミステリであることに変わりはない。