刑事コロンボ「初夜に消えた花嫁」

倒叙方式でない、原作がエド・マクベイン、容疑者との知的駆け引きがない、などなど異色尽くめの本作は賛否両論のようだが、私は楽しめたよ。コロンボというと、真犯人を見いだすカンの鋭さ、時に相手をイラつかせるしつこさ、これらはよく云われることだけど、隙のない捜査も特長の一つだと思うのよね。写真と出席者リストとわずかな目撃証言。それらをしらみつぶしにあたることは、さほど推理力を必要とされることではないにせよ、短時間で容疑者までたどり着く手腕は、さすがとしか云いようがない。こうした「もうひとつのコロンボの特長」がよく表れていた一編だと思った。
お酢とオイルでドアをぶち破った花嫁の賢さもよかったな。