『晩夏に捧ぐ』

038 大崎梢『晩夏に捧ぐ』(創元推理文庫
幽霊騒ぎの奥に黒々と横たわる27年前の殺人事件、その謎が魅力的で、わくわく読み進んだ。途中、探偵役がちっとも真相を明かさないのは不自然なので、なにかしら必然性がほしかったが。元書店員ならではの、本屋にまつわるトリビア的な部分の評価が高いのもよく分かるが、この著者はドキドキハラハラ、サスペンスの盛り上げ方もけっこう上手いと私は思っているので(『配達あかずきん』表題作や『サイン会はいかが?』表題作のような)、日常の謎やほのぼの系から離れた、黒〜い話も読んでみたいな。