『母性』

湊かなえ『母性』(新潮文庫
この作者、デビュー作以外はあんまり自分と相性良くないんだけど、帯の「事故か、自殺か、殺人か。」に惹かれて読んでみたが‥うーむ、帯から期待したような話じゃなかった orz、やっぱりいつもの湊さんだった。
一気に読ませるリーダビリティーの高さはさすが。同じ出来事を語っているのにまるでちぐはぐで噛み合わない複数の視点というのも(この方の小説は今まで読んだの全部コレなんだけど)面白い、んだけど‥。登場人物の思考や行動に共感できなくてもちっとも構わないのだが、この小説の場合は、あまりに人物が作者に都合良く作られすぎで、ぺらっぺらな印象なのだ。紙に描かれた、裏と表しかない、幼稚園の人形劇で使うみたいな二次元の人物像。もっと三次元化してほしいよなあ。