『間宮兄弟』

020(小説)江國香織間宮兄弟』(小学館
江國さんというと恋愛小説のイメージがあるが、本書の主人公は恋愛にちっとも縁のない男兄弟。なので、彼らのことを描いた部分はまっさらな白、彼らを取りまく女性たちの恋愛模様を描いた部分にぺたぺた色がついている、そんな印象。
実は最初に観たのは映画の方。30過ぎた男兄弟が仲良く暮らしているという設定はキモいんだけど、それがだんだんカワいく思えてくるから不思議。私ぐらいの年になると、親の介護や遺産をめぐって兄弟すっかり仲たがいしちゃったなんて話をリアルに見聞きするんで、「兄弟仲良いのがなんでキモいんだろう、仲悪いよりずっといいじゃん。誰に迷惑かけてるわけでもなく、親を大切にし、きちんと社会人して毎日をエンジョイしている彼ら。けっこういいじゃん」と、目からウロコが落ちた気分。
   (文庫)