「ゆれる」

これは凄いわ。
観てね〜と気軽に云えないような、ずっしりくる内容なんだけど、DVDも出たし、興味のある方はぜひぜひ。
屈折した心理がそれはもうリアルで。結局真相はどっちなんだ、と観客に考えさせるその匙加減が絶妙。本当に「ゆれる」んですよ観ているこっちも。役者の演技も云うことなし。満点。主人公だけでなく、父親の兄弟関係も出してきたところなんか、上手いよなあ。
いやー、「間宮兄弟」を先に観ておいてよかった(笑)。順番逆だと「間宮兄弟」がえらく空々しく思えてしまうところだった。(あれはあれで好きなんですけどね) 兄弟の関係って、近くて遠くて、本当に微妙。

ネットのレビューをあちこち見て回ったけど、私の解釈とは違う人の方が圧倒的に多い。ノベライズも読んでみる予定だが、読んだ人の感想見ると、読んでもやっぱりハッキリとは分からないらしい(笑)。普通は「分からない=説明不足」となるところだけど、どっこい、この映画に関してはそこが味というか。

(映画館にて鑑賞)

ネタバレで私の解釈と疑問を書いておきます。
(↓ネタバレなので反転させて読んでね)
観た直後の自分の解釈
・兄は女を突き落とした。
・弟は、それを一部始終見ていた。
・兄の手の傷は、過去に自殺未遂かなんかをやった時のもの
(そんな説明は映画中どこにもないのだが(笑)、一見明るくしっかり者の兄には、実は心の弱い一面があって、過去に‥という伏線なのかと思ったのだ)
・弟は、兄を助けるため+自分の保身のために、おじさんに弁護を依頼
・でも結局は、真実を暴露してしまう
・古い8mmの映像は、なんのてらいもなく兄を信頼しきっていた過去の自分を重ね合わせて浮かび上がった、「お兄ちゃんにはこうあってほしかった」という弟の願望(というか妄想)
「傷」と「8mmの映像」の解釈が、やっぱ苦しいよね。
でも、
・兄は女を助けようと、手を伸ばした
が真実だとすると、法廷で嘘をつくほど兄に捩じれた感情を持ってた弟が、
・最後に「兄ちゃん、一緒に帰ろう」
はあまりに、嘘っぽくないか?
それから
・あれほど高所恐怖症の兄が身を乗り出してまで、自分に良くない感情を持っていた女に、手を伸ばせるものなのか?

(ここまで)