『狂骨の夢』

027(小説)京極夏彦狂骨の夢』(講談社文庫)
暗い海に次々と髑髏が浮かび上がり、ゆらゆら海中を漂っている、そんな印象の物語、まさしく題名通り。見通しのきかない闇に光を当て、それらの素性をひとつ残らず解明する京極堂は圧巻。そこまでが長いといえば長いのだが、時おり出てくる榎木津が、澱んだ水をかん回してくれるお陰で退屈しない(笑)。これ、真相を知った上で再読したら、「なるほどこの事件がこういうことで」とすべて分かって気持ちいいだろうなあ。