「キサラギ」

伏線フェチのそこのあなた、これはお薦めでっせ。自分は、ユースケと塚地と香川照之が出てるという前情報だけで映画館に足を運んだのだが(その目的も我ながらどうかと(笑))、最初のうちこそいかにも舞台劇っぽいテンションの高さが気になったものの、中盤からは「えっ」「なるほどあの小道具が」「うっそーあなたは」「そうだったか」と反応しっぱなし。小栗旬上手かったなあ。終わりの方はちと不満もあったけど、大の男五人のあの踊りはもう一回見たいぞ(笑)。
そうか、慌てて劇場に行くより、DVDになってから二回連続で観るのもいいかもしれない。

(映画館にて鑑賞)
以下ネタバレで感想を。
・(ここから)アイドル(21才)のファンサイトの常連にしてはなんだかみんな、とうが立ってるなあと思ったら、なるほど最後まで見れば年齢設定には納得。でも安男ってミキと同じくらいの年だよね(幼なじみだし、お風呂の写真からもそう考えられる)、なのになんで三十代半ばの塚地をキャスティングしたんだろう。いや塚地はイメージぴったりだったから全然OKなんだけどね、ああいう感じの二十代前半の奴って実際いると思うし。
・最後まで如月ミキの顔は見せないでほしかったが、全部見せちゃうところが「今風」なんだろうなきっと。五人の踊りがスーパー素晴らしかった(笑)ので、許す。
・ラストの方のやたらファンタジックな締めくくり方がイマイチこそばゆい。これが成り立つのは、集まったのが野郎ばっかりだったからだと思う。もし集まったのが女五人だったら、同じ人を好きだという連帯感よりライバル心が勝る奴が出て来て、修羅場確実(笑)。
・五人の演技ももちろんいいのだが、とにかく脚本が素晴らしい。同じキャストでぜひ舞台版をやってほしい。
・演技的には、香川照之が上手いのはもう分かりきっているので(でも最後の方、ちょっと無職の親父にしてはカッコ良すぎたかな)、小栗旬が良かったなあ。温和な顔と、ファン心丸出しのオタク顔と、一瞬で変わるところが特にいい。
小出恵介は、終始テンションの高いおバカな役で、あれだけ動き回るのはなにげに大変だったろうと。
ユースケ・サンタマリアは決して下手ではないが、まあ普通の演技力だと思っている。ただこの人、時々人の心をすげー惹きつける、ドキッとさせる芝居をするから、目が離せないんだよなあ。今回は、ナイフを出してきた辺りの狂いっぷりが、もう最高。
宍戸錠は何だったんだろう(笑)。ま、ああいう「大いなるオマケ(蛇足ともいう)」、私は好きだよ。
ファンサイトの管理人としては、家元さんの気持ちが非常〜によく分かり胸が痛い(笑)。
・観客の入りは中程度。前半は静かだったが(「踊る」のギャグあたりは軽くスルー)、さすがに後半は要所要所で笑い声が起こっていた。

(ここまで)