『雨の恐竜』

041(小説)山田正紀『雨の恐竜』(理論社
あとがきに「私のなかには十四歳の少女が存在する」と書かれていて、ほんまかいなと斜に構えて読み始めたら、本当だった。著者にとって性別も年代も違う人物をこんなにリアルに描けるものなのかとびっくりした。主人公のいろんな気持ちを詰め込み過ぎてとっ散らかった感もあるけど、恐竜が悠々と横切っていくイメージがとにかく圧倒的で、心わしづかみ。