「魍魎の匣」

テンポが非常に良く、最後まで息をもつかせずのエンターテインメントに仕上がっていました。昭和二十年代を再現したオープンセットは圧巻。姑獲鳥の時は、坂といい医院といい、ハリボテ感が抜けなかったからなあ。美馬坂研究所もなにげに凄かった。テーマ曲(東京事変の曲じゃなくて、その前にかかる曲。サントラの「魍魎の匣」)も耳に残るいい曲です。
姿勢も恰幅も滑舌もいい関君とか、回る京極堂とか、珍しいものもいろいろ見られたし(笑)。敦っちゃんはチャーミングだし、クドカンはコートを着た細いシルエットがイメージぴったり。鳥口君は原作ではたしかもっと、撮影機材を担いで歩く がたいのいい男なんだけど、しゃべりっぷりはいかにもって感じでハマってましたね。柄本っちゃんも上手いなあ。
ただ、私にとっての『魍魎の匣』は木場修の物語なので、それがばっさり削られたのは予想通りとはいえ、なんだかなあと。宮迫君はちゃんとがんばって演じてるんだけど、描かれ方がどうにもおざなりというか、箱に入ったり出たりの行動が意味不明。ま、あの原作をそのまま映画にしたら二時間に収まりませんからね。加菜子と頼子の絡みなんかも、詳しくは原作を読んでね、と。
あと。アレはやっぱり、みっしりしてほしかった。
(映画館にて鑑賞)