わたし、気になります(『スカイ・クロラ』編)

森博嗣スカイ・クロラ』シリーズ(『スカイ・クロラ』から『スカイ・イクリプス』まで)を読了した方、及び読んでないけどネタバラしされても構わない方のみ、以下どうぞ。(再読しながら疑問点や思ったことを順次書き足してます。追記:11日23時、13日1時、16日9時、20日13時、25日コメント)
これは自分の性分なんでしょうね、伏線とか時系列とか物語のつながり方とかを検証したくなってしまうのは。しかしこのシリーズに関しては、そういうことをするのは野暮な気もするし、それ以前に作者がそこまで整合性を求めていない、感性で書いている気もするし(笑)。
(ドラッグして読んでね)
・時系列順に並べると、
ナ・バ・テア
「ハート・ドレイン」(『ナ・バ・テア』の途中あたり?カイとクサナギが初めて出会う、クサナギが少尉(『ダウン〜』では中尉))
「ナイン・ライブス」(赤んぼのミズキ)
ダウン・ツ・ヘヴン
ジャイロスコープ」(元の飛べるクサナギではあるが、すでに広告塔)
フラッタ・リンツ・ライフ
クレィドゥ・ザ・スカイ
スピッツ・ファイア」(クサナギはかつてのトップ・エース)
スカイ・クロラ
アース・ボーン」(去るフーコ)
「スカイ・アッシュ」(飛ばなくなったクサナギ、フーコの店)
「ドール・グローリィ」(成長したミズキ)
よく分からないのが「ワニング・ムーン」。カンナミの話だったら、『スカイ・クロラ』の前あたりなんだけど。
・子どもを捨てる親は好かんっ(いきなりそれかい)。でも、ものすごい生命力を持って、胎児の状態から生き永らえたミズキは、キルドレではないんだよね。うーん。
・『スカイ・クロラ』P18、「それを教えてくれた人間」って誰? ティーチャか、『ダウン・ツ・ヘヴン』のクサナギかと思うのだが、該当箇所見つからず。
・「ワニング・ムーン」でパイロットが救出されたのは、夜。だからこれはカンナミの話ではないと思う。彼のときは「朝まで、浮かんでいた」のだから。
・『クレイドゥ・ザ・スカイ』のクリタは実はクサナギ。サガラの「あなたは、キルドレに戻った」というセリフもあるし。最終的にはカンナミがクサナギ‥なのかなあ。「ブーメラン」ってクサナギコードネームだもんね。
 しかしそうだとすると、『スカイ・イクリプス』の最終話、フーコには「彼女」がクリタに見えているらしいのが、よく分からないんだけど。「夢のようだね、なにもかも」ということなんだろうか。
 映画の惹句「何度君と出会い、何度空で戦い、何度、君と愛し合ったんだろう──。」はとてもいいんだけど(加瀬亮の声がまたいいんだ)、原作はそのあたりがもっと複雑ということか。クサナギをある種の広告塔として生かしておきたい上層部が、彼女の外観は別の個体に受け継がせ、飛行技術を持ったクサナギ本人は別人に変えてしまった、と。しかし、クリタ(クサナギ)はクサナギ(外観だけ)に撃ち殺され、また新たに作り直したカンナミ(クサナギ)はクサナギ(外観だけ)を撃ち殺し、ええと、今は誰が飛んでるんだ? 「スカイ・アッシュ」の彼女は、コードネームが「ブーメラン」だけど、飛んでないぞ。
・『スカイ・クロラ』、五年とか十四年とかいうパイロットとしてのキャリアは、結局は後付けの記憶ってことか。飛ばないクサナギは元は誰だったの? この本だけコードネームで呼びあわないのは、人物の外見と中身が錯綜してる、そういう理由からか。
キルドレって、女と寝るし子どもは産むし、どこが子どもなんじゃいって思ったけど、「スカイ・アッシュ」で納得。脳の皺、かあ。やっぱ、記憶というか精神的な面で子どもだったのね。
キルドレが発見されて二十年、というのは短すぎやしないか。二十年で何故、永遠に死なないと分かる? むしろ、二十年云々は作り話で、最初から戦闘用に作り出されたクローンのようなものだったのでは。ミツヤがキルドレを豚や牛に例えていたけど、要するにクローン豚?
・(映画の結末に触れてます)クサナギのためにティーチャを倒しに行くカンナミ。だけど小説では、戦闘はこういう位置づけではない。戦闘相手は敵じゃない、むしろ同志。ダンスの相手だからなあ。