「容疑者Xの献身」

原作既読(当時の感想はこちら)。といっても、読んで三年経ってるんで、ほどよく忘れてました。ドラマは見ていません。
よくぞ、テレビシリーズの映画化という枠にとらわれずに、原作どおりに作ってくれたなあと、嬉しくなっちゃいました。堤真一の石神がいい!外見は小説とだいぶ違うけど、でもこれはすごい!こんなにやってくれるとは思わなかったよ。この一年で「ALWAYS 続・三丁目の夕日」「魍魎の匣」「クライマーズ・ハイ」と、彼の主演作を立て続けに観てるので(別にファンというわけではなく、たまたま観たい映画に彼が出てただけ)、石神役に決まったと聞いたときは、えーまた堤真一かーと思ったんだけど、すみません前言撤回。背中丸めて、冴えない感じで、でも数学の問題を前にすると少年のように目が輝いて。素晴らしい演技でした。いやー泣かされたわ。題名の「献身」が終盤胸にしみるったら。
対する湯川役の福山雅治は、とにかくカッコいい。見とれるほどカッコいいんだけど、旧友の犯罪を目の当たりにしたときに胸に渦巻く悲しみ、怒り、葛藤、そうした複雑な心情を余すことなく伝えられたかというと、ちと疑問。相手の堤真一があまりに良かったので、わりを食っちゃった感じでしょうか。松雪泰子は良かったなあ。綺麗で、でも幸薄い感じで。「原作の靖子は、石神がそこまで惚れ込むほど魅力的な女性に見えない」と云ってた人も、彼女なら納得するでしょうきっと。先日観た「デトロイト・メタル・シティ」の女社長役とは全くの別人(笑)で、ああ役者さんってすごいなあ。
(映画館にて鑑賞)
しかし、雪山は唐突だったよね(原作にないし)。予算が余ったのかなー(笑)、まあ雪だったんで衝立岩に見えることはなかったけど(笑)。あれを入れるくらいなら、石神の授業や追試のシーン(石神なりにきちんと生徒と向き合っているところ)や、湯川の「僕は、彼女に賭けてみようと思う」というセリフを削らないでほしかった。