『裁判員法廷』

019 芦辺拓裁判員法廷』(文藝春秋
最初は、法廷ものなので硬い感じかなと構えて読み始めたのだが、どっこい、これほど読者へのもてなし精神にあふれた本格ミステリはそうはないだろう。「あなた」という人称の使い方が上手いなあ。裁判員制度のことも分かるし、森江春策のちょっとトボけたキャラもいい。法廷だったり評議室だったり、短篇それぞれに舞台が変わるなど趣向も凝らされていて、とっても面白かった。
びっくりの仕掛けもあって、読み返すと相当ギリギリの線を狙って書かれていることが分かる。やられたなあ。