「借りぐらしのアリエッティ」

これは好きー。大好き! ラスト、主題歌が流れてくるあたりで、思わず涙ぐんじゃうほど好きだったよー。
原作は未読。小人というとむしろ自分は、佐藤さとるの「コロボックル」を思い出す。小人の生活がとても丁寧に描かれているところは、両者共通。でも、小人の暮らし方には決定的な違いがある。アリエッティたちの暮らしの理想型は、人間の暮らしなのだ。部屋の作りも、家具も、サイズこそ違え(紅茶の缶をタンスにしたり、マチ針を剣にしたり、そういう工夫もあるけど)人間の家そのもの。だから、ドールハウスにうっとりし、人間から「借りてくる」という発想が生まれる(日本語だと、“借り”と“狩り”、イントネーションこそ違え、音は同じところが偶然とはいえ面白いね。原作は当然英語なわけで、そのあたりどうだったんだろう)。これがコロボックルになると、もっと自然を活用していて、人間社会から完全に独立したコミュニティー。人間がいないところで充分、コロボックルの社会が成り立っていたからね。あくまで人間主体か、自然に根ざした考え方か。このあたり、イギリスと日本の違い、なのかなあ。(あ、でもコロボックルと人間との間に交流が生まれたあと、人間の真似して新聞作ったりもしてたっけ(^^;;)。)
最初の「借り」のシーンはワクワクした。物がとっても大きく見える、それだけではなく、人の声は低く反響し、ポットから出てくる液体は、ゆっくり大きな玉を作って落ちてくる。そういうディテールがしっかりしているので、すんなり物語に入り込めた。声優は、役者の顔を思い出させないという点でも志田未来最高! 大竹しのぶは、本人とアニメの顔の骨格が違い過ぎてどうよと思ったけど、ぎゃーぎゃー騒ぐシーンはさすが。
過去の宮崎作品へのオマージュとも思えるシーンがいろいろあったのも楽しかったな。
・借りで、カギのついたロープを投げて昇ったり下りたりする→カリオストロのワイヤー
・膝の上のダンゴムシ王蟲
・大きく見えるカマドウマなどの虫たち→ナウシカの蟲たち
・昇降機みたいの→ラピュタ
・初めての借りで赤い服を着る→魔女の宅急便、修行の旅に出るのにコスモス色の服を着ていくつもりが、無理矢理黒を着せられる
・太った猫→耳をすませば猫の恩返し
・別れのシーン→耳をすませばのラストと眺めや時間帯が似てる
ええと、他にもあったかも。
ところで、アリエッティの両親がいやに年をとっていたのは、何か理由があるんだろうか。これは原作どおりなの?
(映画館にて鑑賞 027)