『ふたりの距離の概算』

032 米澤穂信ふたりの距離の概算』(角川書店
古典部二年生のキャラが全くブレないのは嬉しいな。カボチャの真相には「ほう!」と驚き、招き猫にはなぜかハラハラドキドキし(笑)。ちょっとしたことが伏線になって効いてくる日常の謎は、この作者ならお手のもの。
正直、「これで土日を挟んだら大日向の退部は完全に「終わった話」になり、翻すのはまず無理になるだろう。」(P17)というそもそもの設定が全く理解できず(笑)、マラソン大会中に情報を収集し、推理し、解決しなくてはならない必要性も全く分からず(つーか、授業の一環なんだから真面目に走れよ!)、新入生のキャラにもイライラさせられるばかりで(なんだか水の中の油みたいに浮いてて、ヤだったなあ。最後でちょっと挽回したけど)‥。それでも楽しく読めたのは、最初に書いた「古典部二年生のキャラが全くブレな」かったお陰。はい、次作(はいつになるやらですが)も楽しみにしています。

あーでも、装画担当の方には悪いが、なんでこんなヘンな表紙にしちゃったんだか。今まで通り、写真にすれば良かったのにー。(まあ、前作も前々作も、内容とはあんまり関係ない写真ではあったけど‥)
あといつも思うのは、米澤さんの描く高校生は、語彙が豊富で会話も思考も高尚だということ。私が高校生の頃って、もーっとぱっぱらぱーだったし、息子(このあいだまで高校生)や娘(現役高校生)を見てても、やっぱりもーっとぱっぱらぱーだよ(笑)。えっと、ただ単に私たちがバカだってことかしらん。