「武士の家計簿」

倹約のハウツーものかと思いきや、御算用者の家に生まれた父と息子の話だったのね。
・人目をはばからず家財を売り払う一方、「銭を拾うは物乞いのすること」と息子を叱る主人公。なるほど、彼の武士としての挟持はそこにあるのかと。疑問を抱き、反発しながら成長するも、いつしか父から受け継いだものが自分の血となり肉となり、それをよすがに出世していくことになる息子。そのあたりも、よくできていたと思います。
祝言の席、しゃちほこばってるダンナの横で、終始ニコニコしているお駒(仲間由紀恵)がすっごくかわいかったです(^^)。堺雅人は37才?ちゃんと若侍に見えるからすごいなあ。
・唯一の自慢である赤門建築の話を何度も聞かせる、今ひとつ冴えない入り婿の父(中村雅俊)、お武家のお嬢様体質がいつまでも抜けない母(松坂慶子)、塵劫記をたしなむ祖母(草笛光子)など、脇を支える役者も実に達者で見ごたえがありました。
・「どぜう」とか「おばばさま」とか、あの帳簿も後世まで残っていたんでしょうか(笑)。
・孫に「与三八」と親しげに下の名前で呼ばれる、お駒の父を演じた西村雅彦、いい役者になったなあ、としみじみ。
・借金がなくなった時点で、母の着物を買い戻しておけば良かったのに(笑)。
・時おり映る加賀のお城がちゃちく見えたんだけど、これって実際のお城だったの?
森田芳光監督にしては奇をてらうことなく、正攻法で撮り上げた映画でしたね。好印象。ラスト、実際の家計簿とそろばんに、ぐっと重みを感じました。
(映画館にて鑑賞 003)