『赤い月、廃駅の上に』

005 有栖川有栖『赤い月、廃駅の上に』(メディアファクトリー
有栖川さんが怪談を?と最初は思いましたが、どれも著者の大好きな鉄道と結びついた話なので、なにやら書くのが楽しくて仕方ないといった空気がそこここから感じられて好もしかったです。すらすら書かれたもの(たしかご本人もそうおっしゃっていた)はさらさら読めてしまうので、もう少しピリッとアクセントの効いた、一文なり仕掛けなりがあったら、なお良かったなあ。
丸田祥三さんの表紙の写真が、とても雰囲気があって素晴らしいです。中身にわざとざらついた古っぽい紙を用いた装幀もお見事。