『無菌病棟より愛をこめて』

加納朋子『無菌病棟より愛をこめて』(文藝春秋
書名を見て、愕然。お病気だったこと、全く知らなかったので、本当にびっくりしました。死と隣り合わせの苛酷な入院生活が、ひたすら前向きに淡々と、時にはユーモアを交えて(女性ならではの悩みとか感覚とか、とっても共感!)書かれているので、泣きながら笑いながら読了。加納さんにとって「書く」という行為は、単なる記録に留まらず、自分の状況を客観的に見つめ、支えるよすがになっていたのではと感じました。それにしても加納さん、自分の出来ることは全てコツコツ実行する努力家で、すごいなあ。
無事退院したとはいえ、ホコリ厳禁、体力ガタ落ち、病気に感染しないよう細心の注意を払い、なおかつ日常の主婦業をやっていかなくてはならない現在のほうが、至れり尽くせりの入院生活よりある意味大変かもしれません。でもがんばって。生きててくださって本当にありがとう。「白血病患者の希望の星となるべく、日々を生きている今日この頃」いえいえ、患者さんだけでなく、読者みんなの希望の星です。今はまだ、生きて行くだけで精一杯だと思うので、いつの日かまた小説が読めること、気長に気長〜〜に待っています。

この表紙イラスト、よく見たら点滴の表面に、ゼリーとかパンとかサッカーとか、加納さんを元気づけたものが描かれていたのね。