『君の膵臓をたべたい』

住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉文庫
これは素晴らしいっ。デビュー作なのか、すごいなあ。
ヒロインの造型が素晴らしい、これに尽きる。遠くない将来の死を知り、でも今は日常を生きていかなくてはならない。親は嘆くばかりで頼りにならない(これはこれで分かる)。闘病ではなく共病という考えにも大いに共感。前向き、なんて陳腐な言葉では語り尽くせない彼女なりの覚悟と行動。時には「えーなんで」と思わされることもあるけど(親友と“僕”をくっつけようとするところとか)、むしろなんでも正解ばかりじゃない、未熟な高校生らしさと受け止めた。
終盤の思いがけない展開には大変驚かされた。正直、こうする必要性はあったのか?と思ったけど。

“僕”の名前がずっと伏せられているのが大した効果を生んでいない気がして、でもそれは自分がミステリ者だからそう思うのかな。