『神様ゲーム』

075(小説)麻耶雄嵩神様ゲーム』(講談社ミステリーランド
麻耶さんがこんなに“書ける”方だったとは、正直びっくり。今まで読んだミステリーランド(小野・殊能・太田・竹本・西澤・倉知・麻耶)の中で、描かれている少年の心理や言動が現実の彼らと最も近いと感じたのは、殊能作品と本作が双璧。内容のダークさがとかく話題になっていて、たしかにダークだし、このラストは子どもに分かるかいな(実は私も分からなくて、ネットであちこちの感想を読みあさってようやく理解(笑))と思ったけど、子どもの視点を見事に再現した語り口は、もっと評価されてしかるべきでは。
子ども向けの物語でも著者のカラーを突き通した点、本格ミステリのテクニックを惜し気もなく注ぎ込んだ点も私は買うぞ。原マスミさんの挿絵もベストマッチ。