「ブタがいた教室」

「いただきます」「ごちそうさま」をちゃんと云おうと思いました。
テンポ良く、音楽もうるさすぎず(やたらBGMで説明しようとする映画、最近多いからなあ)、一本の映画としてなかなかよく出来ていたと思う。子どもたちの自然な演技を引き出した手腕もすごい。
以下、未見の人のために一応たたんでおきます。
 
  
 
・原作の『豚のPちゃんと32人の小学生』は本屋でちらっと見た程度なんだけど、実際はもっといろんなことを子どもに体験させていたようで。ソーセージ工場に行って食肉の加工を実際に見せたりとかね。映画は、冒頭の「ブタを育てて食べる」から「食肉センターへ連れて行く」になぜ変わったかの説明が、少し足りなかった気がした。
ここを読んで考えたこと。「家畜というのは本来、食べられるべくして育てられた存在である」という意見は、まったくもって人間本位で賛成できない。自分が家畜かペットかなんて、そんなのブタは知ったこっちゃないしそもそも選べないし、どちらも等しいひとつの命。もっと広げて考えれば、動物だけでなく植物に対しても我々は、命をいただいてありがとうという感謝の念を持つべきだと思うのよね。田畑智子演ずる先生が云ってたじゃん、「トマトだって生き物です」って。
・いきなり新任で六年生を受け持つかなあ。あと、子どもたちの絵がちょっと六年にしては拙いような(実際に描かせていたとしたらゴメンナサイ、でもひとりぐらい、漫画っぽいブタじゃなくてリアルなブタを描く子どもがいても良さそうな)。
・自分の子どもが小五なんで、映画の中の子どもたちのリアルさはただごとではなかった(笑)。息子のクラスのあの子やあの子にそっくりな子がいっぱい映画の中にいて。
・校庭の片隅で飼っていたんだったら、もっと他の学年の子が興味を持って、学校ぐるみのイベントになりそうなものだと思うんだけど、そうはならなかったのかなあ。
・子どもたちの自主性に任せるという名目に頼りすぎて、指導力のなさを露呈し迷走を続けた担任が、最後の最後に一番責任ある一票を任されるハメになったというのは、できすぎだけど現実がそうだったんだね。
・ディスカッションというものについても、子どもたちはかなり学べたのではないだろうか。クラスの意見が真っ二つに分かれ、最後は先生の一票で結論を出し、でもそれをちゃんと「クラスの総意」として下級生に伝えにいったシーンは、じーんとした。
原田美枝子の校長先生、カッコ良かったね。
・最後にPちゃんがどうなるのか、はらはら見守っていたのだが、よく考えれば題名で結末は分かってしまっていたのだった。
(映画館にて鑑賞)