『ガリレオの苦悩』

003 東野圭吾ガリレオの苦悩』(文藝春秋
ドラマ化以前に書かれた最初の一篇はともかく、なんというのだろう、従来の路線をきちんと踏襲しつつも、ドラマ化で得られた新たなファンの期待にも応えるという離れ業を、いとも容易くやってのけてしまう東野さんは、やはりただものではないなあ。ドラマをフィードバックさせてさらに原作も進化してしまうという、なんとも幸福な、しかし非常に稀有な例だと思った。人間のドラマに胸熱くなる「操縦る」、もうそのままドラマになっちゃうだろう的「攪乱す」が特に印象深かった。