『ジョーカー・ゲーム』

008 柳広司ジョーカー・ゲーム』(角川書店
最初、時代設定にちと身構えたが、どっこいとても読みやすいスパイ小説だった。といっても、007やスパイ大作戦のような派手さはない。「静かで、目立たない、影のような」リアルなスパイ(でも能力はすごい)を描いた、端正な物語。人物を駒のごとく、きっちり役割分担させて動かしているので、展開は非常に分かりやすい。この時代に徹底的な合理主義を貫く結城中佐のキャラが、なかなかに立っている。