『光媒の花』

025 道尾秀介『光媒の花』(集英社
いや〜、巧いわ。各篇のつながり具合といい、ワンシーンをかすめて飛んでいく白い蝶といい、絶妙。文章もいいなあ、でもまだ伸びしろはあると見た。
とことんヒドい目にあう子どもとか、気のいいおやっさんとか、道尾作品を読んできた者にとっては既視感ある人物が出てきたりもするんだけど(笑)、でもやはり、これだけ様々な人間の生き様を描けるのは、すごいよ。ミステリから離れて不満、という意見もあるらしいけど、どうしてなかなか、「えっ、そういうことだったのか」と思わせる部分もちゃんとあって、私は大満足だったよ。