『八日目の蝉』

角田光代『八日目の蝉』(中公文庫)
これは、上手いなあ。
愛人の子を身ごもり、しかし自分は母になることは叶わなかった。それなのに時を同じくして本妻は子どもを産んだ。こういう設定の小説ならまあ、よくあるんだけど、その先、成長した娘の視点で物語を綴る、というのをよく思いついたもんだなあと。不幸のせいにして生きるのは簡単だが、それではなにも解決しない。その不幸が無かったとしても、実は自分は大して変わらないのではないか。うむ、肝に銘じておこう。
小豆島の光景もとても効果的に使われていた。映画は、気にはなりつつ観逃していたので、これを機に観てみよう。