『おやすみラフマニノフ』

中山七里『おやすみラフマニノフ』(宝島社文庫
前作同様、ヴァイオリンやピアノの演奏シーンの描写が超絶上手くて素晴らしい。残念ながらミステリ部分は、出だしのストラディバリウス消失のインパクトに比して、結末が尻すぼみの感あり。主人公のとったある行動に対する周囲の反応も、あまりにご都合主義すぎる。でもその分、終盤の演奏会に至るまでの学生たちの物語が読みごたえあって面白かった。あくまで音楽を主体にした物語で、ミステリ部分は従なのね。でも、岬先生は相変わらずカッコよかったよ(笑)。

この小説は、音楽を聴きながら読むとより理解が深まります。てなわけで、動画を探して来ました。
P14 いつでもどこでも、岬洋介はカッコいい。
 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第五番変ホ長調 皇帝 第三楽章
P25 柘植初音の自室にて。
 シューマン トロイメライ(これは知ってたぞ)
P34 城戸晶の母との思い出。/P92 オーディション。
 パガニーニ ヴァイオリン協奏曲第二番ロ短調第三楽章 鐘のロンド
P45とかP138とかP307とかP317とか。
 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第二番第一楽章(これはラフマニ本人か!) 第二楽章 第三楽章
(ああ、第一楽章は、トリノオリンピック高橋大輔や村主文枝が滑った曲なのね)
P65 レッスン室の下諏訪美鈴。彼女の弾いた第一音を「カン!」と表現した中山七里さんは凄い。
 リスト パガニーニによる大練習曲第三番 ラ・カンパネラ(リンク先は辻井伸行さんの演奏。これまた鳥肌もの。)
P97 入間裕人のオーディション演奏曲。小説と照らし合わせて11の変奏をお楽しみ下さい。
 パガニーニ 二十四のカプリース 第二十四番
P243 予測できる展開だったけど、読んでて中山さんの筆力にいいように踊らされました。
 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲第一楽章〜第三楽章(おお、五嶋みどりさん)
P361 ラストの演奏。
 ラフマニノフ 前奏曲嬰ハ短調バンクーバー浅田真央が滑った曲です)