『模倣犯』

013(小説)宮部みゆき模倣犯(上・下)』(小学館
登場人物たちの叫びがとにかく辛くてしんどくて、でも読むのを止められなくて。相変わらず宮部さんは少年や爺さんをカッコよく描くなあ。賢そうに見えて実は稚拙で杜撰な犯人、劇場型の犯罪‥読みながら私は、規模は違えど、ネット上での「荒らし」「祭り」と称される現象を連想した。他人を言葉で傷つけて悦に入る馬鹿、リンクを辿ってほいほい見に行く馬鹿、自分にもさもしい部分があるからこそ、物語が傷口に塗り付けられた塩のごとく染みるんだなあきっと。
 
文庫は五分冊