『装幀室のおしごと。2』

範乃秋晴『装幀室のおしごと。2 〜本の表情つくりませんか?〜』(メディアワークス文庫
誰がラブコメ路線を走れと(笑、面白かったからいいですよ。もっとやれ)。
第一章はちと間延びした印象が否めなかったが、第二章後半の緊迫感はなかなか。予想できる着地点ではあったけれど、複数の人物たちが上手く絡み合って、うん、面白かった。
(私が勝手に名づけた)「カッパ巻」シリーズ、さらに続くのかな?

『君の膵臓をたべたい』

住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉文庫
これは素晴らしいっ。デビュー作なのか、すごいなあ。
ヒロインの造型が素晴らしい、これに尽きる。遠くない将来の死を知り、でも今は日常を生きていかなくてはならない。親は嘆くばかりで頼りにならない(これはこれで分かる)。闘病ではなく共病という考えにも大いに共感。前向き、なんて陳腐な言葉では語り尽くせない彼女なりの覚悟と行動。時には「えーなんで」と思わされることもあるけど(親友と“僕”をくっつけようとするところとか)、むしろなんでも正解ばかりじゃない、未熟な高校生らしさと受け止めた。
終盤の思いがけない展開には大変驚かされた。正直、こうする必要性はあったのか?と思ったけど。

“僕”の名前がずっと伏せられているのが大した効果を生んでいない気がして、でもそれは自分がミステリ者だからそう思うのかな。

『ある日うっかりPTA』

杉江松恋『ある日うっかりPTA』(KADOKAWA
自分もPTAの経験があるので、文中の「(PTAの常識 その○○)」にはいちいち「そう!あるある!」と大きくうなずきながら読んでいた。拘束時間多いし、一所懸命やればやるほど蟻地獄のように仕事が降ってくるし、でも得難い経験ができるのも事実なんだよね。
本書は三年間の回想録なのだが、思ったより淡々としていた。もっともルポなんだから、小説のように起承転結を求めてもいけませんわな。
「がんばらない、をがんばろう」「PTAは卒業すべきものだ」には目からウロコ、心に残った言葉だった。

『読書で離婚を考えた。』

円城塔田辺青蛙『読書で離婚を考えた。』(幻冬舎
web連載中は「Yome Yome メオトドクショリレー」だったのが、またえらくカゲキな題名に(つーか別に考えてないじゃん離婚!)。せめて「。」じゃなくて「?」にすりゃよかったのに。まあたしかに連載中、ほのぼの夫婦リレーエッセイかと思ったものが、回を重ねるごとに緊張感をはらんでいったのは確かですが(笑)。
帯の「夫婦のかたちに正解はない。本の読み方にも正解はない。」が正鵠を射てて、理解は難しいと分かることも理解の一端かと。自由奔放で可愛い妻と、淡々と分析する夫の組み合わせ、いいなあ。唐沢なをきさんのイラストもいいな。

7月9日のトークショー&サイン会、行きたいけど大阪かあ(しょぼん)。