2006-01-01から1年間の記事一覧

『仔羊の巣』

049(小説)坂木司『仔羊の巣』(東京創元文庫) 市井の人々のちょっといい話は、宮部みゆきさんあたりのほうが遥かに上手いけど、謎と解決、その見せ方がわりと好き。キャラについては特に何も。

『少女七竃と七人の可愛そうな大人』

048(小説)桜庭一樹『少女七竃と七人の可愛そうな大人』(角川書店) ナナカマドの樹のトリビアが一番心に残った(おいおい)。文章も物語も、もう少し練られているほうが好みだな。 (文庫)

『仮面幻双曲』

047(小説)大山誠一郎『仮面幻双曲』(小学館) トリックには大いに感心、伏線の拾い方もきちんしてるし。欲をいえば、昭和20年代という時代を感じさせる描写や会話をもっと盛り込んでほしかったな。途中、読者の関心をトリック以外の部分にも向けさせるこ…

『いけちゃんとぼく』

046(漫画)西原理恵子『いけちゃんとぼく』(角川書店) 暖かい、包み込まれるようなマンガ。ラストは「へえ、そういう話だったのか」とちょっとびっくり。いけちゃんみたいなお母さんになれたら、いいなあ。

『青空の卵』

045(小説)坂木司『青空の卵』(創元推理文庫) 米澤穂信さんの作品がほろ苦いビターチョコだとしたら、こちらは甘々ミルクチョコか。謎を解決する糸口の見せ方とかひっくり返し方とかにセンスを感じた。それにしてもよく泣く主人公たちだなあ、自分の歪み…

『コッペリア』

044(小説)加納朋子『コッペリア』(講談社文庫) あくまで私の趣味で云うとだが、「ミステリ部分はなくてもいいや」と思ってしまったくらい、前半の人形を中心に据えた人間ドラマに心奪われた。ところで、蝋人形ならともかく、実在する人間にそっくりな球…

『川に死体のある風景』

043(小説)『川に死体のある風景』(東京創元社) 『本格ミステリ06』では「おお、こんなところにも本格が!」的な、視野が広がる楽しみが味わえたが、このアンソロジーは本格ならではの醍醐味を堪能できた。トリックに感嘆したり、文章に翻弄されたり。こ…

『本格ミステリ06』

042(小説)本格ミステリ作家クラブ編『本格ミステリ06』(講談社ノベルス) 日頃あまりチェックしていなかった作家さんの作品が読めたのも、今回のアンソロジーの収穫。 好きな作品は「流れ星のつくり方」と「シェイク・ハーフ」。本格ミステリという観点か…

「UDON」

コースケ、恭子ちゃん、うどん作る時は髪切れよ、結べよ!(笑) あと、どうして恭子が選んだのがトータス松本じゃなくてユースケなのか(おっと、役名で云うと、庄介じゃなくて香助なのか)がイマイチ分からなかったんだけど、でもでも、編集しまくり本広ム…

『化けものつづら』

041(写真集)荒井良『化けものつづら』(木耳社) 京極さんの文庫の表紙を飾る張り子人形の写真集。実物(一度見たことがある)にはかなわないけれど、写真で人形を様々な方向から見られたのは嬉しかったな。木型に紙を貼って作ると書いてあるけど、髪や指…

『文学賞メッタ斬り!リターンズ』

040(実用書)大森望・豊崎由美『文学賞メッタ斬り!リターンズ』(PARCO出版) 二冊目はパワーダウンするかと思いきや、分量も多いし内容も濃い。腹黒(というか冷静)な大森さんと、駄々こね(でも豊富な読書量に裏打ちされた)豊崎さんのコンビに島田雅彦…

「ハチミツとクローバー」

原作は未読。 学生時代片想い一色だった自分にとって、これはもう他人事ではない映画だった。切なくて、でもキラキラしてて、打算も何もないバカ正直な恋。山田はあたしだー(あんなに美人じゃないけどね)。役者さんはみんなよかった! 写真集も買ってしま…

『押入れのちよ』

039(小説)荻原浩『押入れのちよ』(新潮社) 題名と装幀に惹かれた一冊。どこかしら必ずポジティブなのがこの著者の作風なのかな。胸に迫る暖かさあり、ゲラゲラ声出して笑っちゃうおかしさあり。「ちよ萌え」だー(笑)。 (文庫)

「ゲド戦記」

絵はすごく好き。特にラストの竜のあたりは鳥肌もの。 精神的な父親殺しと、実際に殺すのとでは、天と地ほども差があるだろうに。そこが一番引っ掛かった。ストーリーが、のめり込めるかなと思うといったん途切れ、なんだかその繰り返し。絵と同様、もっとシ…

『気分は名探偵』

038(小説)我孫子武丸・有栖川有栖・霧舎巧・貫井徳郎・法月綸太郎・麻耶雄嵩『気分は名探偵』(徳間書店) 犯人当ては全敗だった(涙)が、とっても楽しめた。定期的にこういう企画本、出してほしいなあ。六編の中では「犯人当てという枠の中でこんなこと…

『黒のトリビア』

037(実用書)新潮社事件取材班『黒のトリビア』(新潮文庫) 現実の事件やら法律やらにはさほど興味もなく疎い私だが、この本は面白かった。脳内では中江真司さんのナレーションと「へぇ〜」が常に鳴り響いていた(笑)。一番印象に残っているのは「ガソリ…

『人形月』

036(写真集)恋月姫『人形月』(小学館) 自分の買ったのはフィギュア付きの特装版。本物のお人形は高くて一生買えないだろうから、手が届く範囲のフィギュアを思いきって入手。さあ、お洋服を作ってやらなくちゃ。着物もいいなあ。『人形姫』『震える目蓋…

『安野光雅のいかれたカバン』

035(絵本)安野光雅『安野光雅のいかれたカバン』(世界文化社) 突然出てきた、30年以上も前の自分の絵。本文中では、30年前の自分と今の自分とがこの絵を肴にのらりくらりと会話をしているが、彼らに代わって何の挿絵として描かれた絵なのか推理してみる…

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

034(小説)リリー・フランキー『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(扶桑社) 小説というより自叙伝?ノンフィクション? でも、タレント本だからサラッと読めちゃうかなと、なめてかかったらとんでもなかった。子どもの立場、母親の立場、両方分…

「デスノート 前編」

原作は未読の状態で観た。 ノートの設定がとても良く考えられていて、何より月とLとの頭脳戦がたいそう見ごたえあり。Lはとても変わった見かけだけど、きっと原作そっくりなんだろうな(その通りでした)。後編が楽しみ! レイぐらい、見かけ外人の人を使…

『ベルカ、吠えないのか?』

033(小説)古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』(文藝春秋) この小説は「骨」だ。いくらでも話を膨らませられるだろうに、皮も肉もばっさり捨てて骨格だけ。その潔さがいいし、最低限の言葉だけで伝えられるのは、やはり才能なんだろうなあ。 (文庫)

「インサイド・マン」

題名がナイス。 前半の何気ないシーンが、終盤になって「なるほど、そういうことだったのか!」と分かってくるあたりが好き。正直、この警官と弁護士って、デンゼル・ワシントンとジョディ・フォスターをわざわざ使うような役かなあとは思ったけど。一見緻密…

「ダ・ヴィンチ・コード」

原作は未読。 映像良し音楽良し役者良し、でも「主人公たちが広い舗装道路をまっすぐダーッとゴールまで走ってって終わり」みたいな印象で(笑)。つまりもう少しストーリーに紆余曲折があったほうが‥。ま、二時間余の尺で原作読んでない人にもストーリーを…

「花よりもなほ」

是枝監督の作品を一度観てみたかったのと、予告編が面白かったのとで、劇場に足を運んだ。 ちょっと尺が長かったな。ドタバタ笑いのシーンはいいんだけど、静かな部分はもうちょっとメリハリがあったら良かった。でも、役者さん一人一人が活き活きしてたし、…

『パズルゲーム☆はいすくーる(13)』

032(漫画)野間美由紀『パズルゲーム☆はいすくーる(13)』(白泉社文庫) 香港を舞台に描かれる物語は、スケール大。ところで香月たちは中国語を話しているのかな?

『毎日かあさん(3)背脂編』

031(漫画)西原理恵子『毎日かあさん(3)背脂編』(毎日新聞社) Web上でも読んでいるので半分は知ってる作品だったけど、何度読んでも楽しいし、元気が出る。ひよちゃん(娘さん)の話をもっと読みたいなあ。

『桜宵』

030(小説)北森鴻『桜宵』(講談社文庫) 大好きな香菜里屋シリーズ第2弾。謎は解かれるためだけにあるのではない、その裏に横たわる人間の心理が読みごたえあり。大人のミステリだなあ。

『明日の記憶』

029(小説)荻原浩『明日の記憶』(光文社) なんと人の好い小説なんだろう(褒めてます)。若年性アルツハイマーを扱った重い内容のはずなのに、主人公も作者も、歩こうが足踏みしようが顔だけは常に前を向いている、そんな印象。映画の方もお薦め。 (文庫…

「明日の記憶」

制作者の思い入れが強すぎると空回りすることがままあるのだが、この映画化は本当によくできていた。渡辺謙すごいぞ。ハデな映像テクも少なく(堤監督にしては?よく知らないのだけど)、奇を衒うことのない真直ぐな演出。でも二時間ダレることがなかったし…

「陽気なギャングが地球を回す」

原作のストーリーを全部映画に持ち込めないのは最初から分かっているので、この改編は許容範囲。最高のキャスティングで、めっちゃカッコいい銀行強盗シーンを見せてくれただけで、もう満足。 雪子の特殊能力のメリットが、映画だとちょっと分かりにくかった…