2009-01-01から1年間の記事一覧

『天使の歩廊』

053 中村弦『天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語』(新潮社) ファンタジーノベル大賞受賞作。新人とは思えない筆運びのまろやかさ、時代考証の確かさにまず、感服。西洋館と建築家が話の中心にあるところも私好み。ファンタジー部分がほわほわしていて、こ…

刑事コロンボ「奪われた旋律」

音楽が、賞を取るほどの才気あふれたものに全然聞こえない(ま、それはしょうがないか)。そもそも、彼を殺しちゃあなたの過去の栄光も未来も断たれたも同然じゃないですか、犯人さん。さらに、最後はなんなんですあの茶番劇(笑)。あっさり笑顔で退場する…

『バカ世界地図』

052 一刀『バカ世界地図』(技術評論社) バカは国境を越える!(笑) いやあ、こういう国の壁を越えたネットならではの企画、好きなんですよ(セカイのハレ晴レ、とかね)。どこまで本気でどこまでネタなのかは正直微妙だけど、バカが通じるのは平和の証で…

刑事コロンボ「復讐を抱いて眠れ」

パトリック・マクグーハンは渋くてかっこいいし、葬儀屋という職種も変わってて面白いのだが、どうも全体的にベタな印象が拭えず。死体を始末する前にコロンボが乗り込んで来て犯人が焦る、という展開にしたほうが良かったんじゃないかなあ。表彰式の歌も笑…

『"文学少女"と飢え渇く幽霊』

051 野村美月『"文学少女"と飢え渇く幽霊』(ファミ通文庫) 暗号めいたものが出てきてワクワクしたのに、その謎解きには行かずに物語はのろのろのろ。ゴシック体の部分も、今回はころころ視点が変わるのでなんだかなあと思ったら、そうか、彼女が書いたもの…

『竜巻ガール』

050 垣谷美雨『竜巻ガール』(双葉文庫) 四篇から成る短篇集。「第27回小説推理新人賞受賞作」とあったので手に取ったが、あんまりミステリっぽくなかったなあ。でもガングロ少女の話は意外と良かったし、少々とうのたった女性一人称で書かれた「渦潮ウーマ…

『鼻』

049 曽根圭介『鼻』(角川ホラー文庫) 巷で評判の高いホラー小説大賞(短編賞)受賞作を含む三篇から成る作品集。おお、この不条理でシュールな笑いは筒井康隆さんに似ているかも。ホラーというほど怖くないけど、こういう奇妙な味はけっこう好きーと思いな…

『夜の朝顔』

048 豊島ミホ『夜の朝顔』(集英社文庫) 女の子って、めんどくさーい(笑、なので、物語後半の主人公の立ち位置はすごくよく分かる)。記憶の奥底に沈んでしまった感情や情景を、色鮮やかに文章で再現する著者の才能はやっぱりすごい。タイムマシンで過去に…

『サクリファイス』

047 近藤史恵『サクリファイス』(新潮社) 2007年の話題作。いやあ、たしかにこれはすごいわ。自転車レースの複雑な仕組みは全く知らなかったので勉強になったし、最後まで読んでその題名の意味するところを知り戦慄した。手がかりがあらかじめ読者の前にさ…

『抒情的恐怖群』

046 高原英理『抒情的恐怖群』(毎日新聞社) 表紙と帯の京極さんの推薦文に惹かれて手に取った一冊。平山夢明さんの書くものと題材が似通っているところもあるが、あちらが「ロック」なら、こちらは「琵琶法師の語り」(?)といった感じか。程よく枯れて、…

『ラ・プティット・ファデット』

045 しかくの『ラ・プティット・ファデット』(東京創元社) 帯に綾辻さんの推薦文がおどる一冊。外枠の落とし方はなかなか見事だったが、内と外の物語が、ちょっとちぐはぐだったかなあとも。

本は見た目が何割?

「この本の表紙(装幀)が気になるよ」コーナー。 岩井志麻子さんに見えてしょうがない(笑)。 微妙に不思議で微妙に不気味。恩田さんの不思議短篇はすごく好きなので、いずれ読むぞ。 今、読んでるところ。夜中にこの表紙が部屋にあると、怖くって仕方がな…

刑事コロンボ「殺意の斬れ味」

鑑識の犯人がコロンボの前でなかなか上手に立ち振る舞っていた前半は良かったが、コロンボが共犯二人の関係に気づいた場面の演出がくどすぎた。ラストも、店でのコロンボの長々とした説明(というか自慢話)は、完全に蛇足。もっとサラッとかっこよく終わら…

『"文学少女"と死にたがりの道化』

044 野村美月『"文学少女"と死にたがりの道化』(ファミ通文庫) 「夏の100冊」に選ばれてた一冊を、ジャケ買い(笑)。(ええと、あんまり詳しく知らずに書いてますんで、違ってもお許しを〜) 草食系男子を中心に、不思議っ娘、ドジっ娘、ツンデレ、お嬢と…

「着信アリ2」

「着信アリ」「2」「Final」とノベライズ本を三冊読破(でも映画は未見)している娘が、「「2」が一番怖かったから、それを観たい」と云うので、借りてきて二人で鑑賞。うーむ、台湾に渡る前まではけっこう良かったんだけど、その後がなあ。最後の仕掛けを…

『改訂・受験殺人事件』

043 辻真先『改訂・受験殺人事件』(創元推理文庫) 高校生が「乱交パーティー」ってどうよ、な部分もあるけど、謎解きや構成は圧巻。探偵二人の賢さもマル。

刑事コロンボ「奇妙な助っ人」

地道な捜査で犯人に狙いをつける、「うちのカミさん」のセリフがちゃんと出てくる、などなど新シリーズの中では比較的コロンボらしい出来。犯人の犯行手口もわりと凝ってたし。しかし、また「警察劇団」かと思いきや、今度は本物のマフィアでした(笑)。

「呪怨2」

娘は「怖さがパワーアップしてる〜」と云ってたけど、うーむ‥。確かにホラーな仕掛けは大がかりになったけど、伽倻子の声や動きは機械的なエフェクトをかけないほうが好みだなあ。あっちとこっちがくるくる変わってだだだっと進む市川由衣の回が一番好き。 …

『盗作・高校殺人事件』

042 辻真先『盗作・高校殺人事件』(創元推理文庫) 相変わらず凝った構成で、現実と創作が入り乱れ。ポテトとスーパーのキャラがいいし、意味のない密室の理由が面白かった。序幕の「鬼」が最後にちゃんと効いてくるのね。

『仮題・中学殺人事件』

041 辻真先『仮題・中学殺人事件』(創元推理文庫) 多少古さを感じる部分もあったけど、軽快に楽しく読んでいたら‥けっこう深刻な展開もあるのね(まあ、殺人事件だし)。それにしても構成が凝っていて、作者の意気込みがよく伝わってきた。解説まで本人か…

『てのひら怪談 己丑』

040 加門七海・福澤徹三・東雅夫 編『てのひら怪談 己丑』(ポプラ文庫) 編者の福澤さんは「もっと怖いものを」、解説の稲川淳二さんは「ラストにちょっと救いを」、それぞれ求めるところが違うことからも分かるように、千差万別のミニ怪談を楽しめる格好の…

刑事コロンボ「死を呼ぶジグソー」

エド・マクベイン原作。うーん、とっ散らかったサスペンスといった印象。ヘンなズボンやマフィアの扮装や、そういうところが見どころなの? 意外性も必然があればいいんだけど、やたらと人は殺される、不法捜査もいとわない、コロンボらしさはコインパーキン…

「ディア・ドクター」

西川監督の前作「ゆれる」がとても見応えあったので、今回も期待して劇場へ。過疎の村の医師不足、終末医療といった問題提起はあるものの、映画のトーンは終始明るく、観ていて楽しかった。達者な役者陣、吹き渡る風が客席にまで届くかのような豊かな映像、…

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」

物語が終わり、エンドロールが流れ、予告も終わって画面暗転。なのに誰一人として席を立たなかった(500のキャパで6割方埋まってたんだけど)。「何だったんだこれは!しーん」って感じ。で、明かりがともるとようやくざわつきが戻ってきた。こんなこと初め…

「呪怨」

誰ですかビデオ版が一番怖いと云ったのは(もしかして私の聞き間違い?)、映画のほうがずっと怖かったぞ。訳が分からないなりに一貫していて、静かなんだけど緊張が途切れなくて。各エピソードが微妙に時系列をずらしながらつながっているあたりも、良かっ…

『かみつく二人』

039 三谷幸喜・清水ミチコ『かみつく二人』(幻冬舎) 二人がラジオをやっていたのは知っていたが、本が三冊目になるとは知らなかった。心おきなくポンポン云い合える二人の距離感が心地よく、楽しいね。

「いけちゃんとぼく」

うーむ、こんな話だっけ? でも、いけちゃんかわいい。蒼井優はもっとほんわかした声なのかと思ったら、男の子っぽい雰囲気も上手いんだね。二人で一人を虐めたり、大勢で二人を虐めたり、やだなあ卑怯な男どもは。ボーズ頭のきょうちゃんはバッタを食べる男…

刑事コロンボ「4時02分の銃声」

題名から予想していたほど、緻密な犯罪ではなかったなあ。ただまあ、衛星放送や携帯電話は、当時は斬新なアイテムだったのだろう。またもや「警察劇団」が、活躍(笑)。

「トラウマ/鮮血の叫び」

鮮血、というほど血は出なかったぞ。首切り落としたらもっと、ドバーッてなると思うんだけど。最後、事件の真相にはかなりびっくり。意外とミステリだったんだなあ。動機もそれなりにしっかりしていて、納得。アーシア・アルジェントは16歳(!)、堂々たる…

刑事コロンボ「恋におちたコロンボ」

コロンボの執拗な訪問を疎んじる犯人は多々あれど、“華やぐ”犯人は、そうはいないのでは。いつもと違う展開が新鮮で、楽しめた。犯人二人の関係が、最後に分かるところもよかった。 「あなた、ファースト・ネームは?」「警部です」