2010-01-01から1年間の記事一覧

『プロムナード』

027 道尾秀介『プロムナード』(ポプラ社) ひとつひとつのエッセイが短く、さらっと読めちゃってちょっと物足りなかった。雑誌のインタビューなんかは常に追いかけてたんで、既知の話も多かったし。いろいろ賞を獲ったときの感想なんかも入れてくれればよか…

『蝦蟇倉市事件(2)』

026 アンソロジー『蝦蟇倉市事件(2)』(東京創元社) 初めて読む作家さんが多かった。 北山猛邦「さくら炎上」真相は想像通り、でもラストシーンはなかなか。 桜坂洋「毒入りローストビーフ事件」ううむ、これはどう楽しめば‥。 村崎友「密室の本」このト…

『光媒の花』

025 道尾秀介『光媒の花』(集英社) いや〜、巧いわ。各篇のつながり具合といい、ワンシーンをかすめて飛んでいく白い蝶といい、絶妙。文章もいいなあ、でもまだ伸びしろはあると見た。とことんヒドい目にあう子どもとか、気のいいおやっさんとか、道尾作品…

「告白」

期待に違わぬ傑作、よくぞ原作に忠実にここまで。小説の映画化はいろいろ観たけど、これは相当、上の部類に入ると思うぞ。「下妻」「パコ」と同じ監督とは思えない、ぐっと押さえた色調もいい。松たか子は役になりきっていたし、メインの中学生もちゃんと芝…

『おさがしの本は』

024 門井慶喜『おさがしの本は』(光文社) 図書館のレファレンス・カウンターを舞台に繰り広げられる、日常の謎系物語‥と思いきや、政治の話になるとは。文章はちと硬いけど、これは面白かった! 潟田さんのキャラがいいなあ。 図書館のピンチを救うべく、…

「書道ガールズ !! 」

書道パフォーマンスって、「よゐこ部」で見たことあったなあ。筆を抱えた成海璃子の腰の入り方がハンパない。それだけでも観に行ったかいがあった。「紙を作る町の産業興しのため」という動機もいいな。 (映画館にて鑑賞 018)

「パーマネント野ばら」

数あるサイバラ原作映画化の中でも、これは出色。しょっぱなからパンチパーマのおばちゃんたちが「チンコ」と連呼するところでもう、本気の度合いが違うなと。ほんとに貧乏臭い子役、スッピンの小池栄子、ラーメンまみれの池脇千鶴、ロケ地も含めてすべてが…

『天地明察』

023 冲方丁『天地明察』(角川書店) 面白かったよー。もっとはっちゃけた物語なのかと勝手に想像してたんだけど、真摯な伝記小説だった。時代劇の分野で、この著者より流麗な文章を書く人はいくらでもいるだろう。でも語彙は豊富だし、なによりまるでドラマ…

『水魑の如き沈むもの』

022 三津田信三『水魑の如き沈むもの』(原書房) どうも三津田さんの文章が肌に合わず、途中四分の三までは泣きたくなるほど読むのがしんどかった。が、連続殺人が起こるあたりから俄然面白くなり、おなじみの「推理ノート」を経て真相にたどりつくまでの道…

『星町の物語』

021 太田忠司『星町の物語』(理論社) 素晴らしいっ。 星新一のショートショート大好きの自分が太田さんの物語と初めて出会ったのは、『ショートショートの広場』に掲載された「帰郷」。このときは雰囲気重視の一編という感じで、正直ピンと来なかったのだ…

『球体の蛇』

020 道尾秀介『球体の蛇』(角川書店) 個々のパーツが重いわりには、物語があっさり簡単に進んでしまう感じがして、うーん‥と思いながら読んでいた、途中までは。でも、最後まで読んで、なるほどと認識を新たにした。誤解や思い込みが招く悲劇、というのは…

『今日の早川さん(3)』

019 coco『今日の早川さん(3)』(早川書房) かるたの「変な人ねという陰口すらも心地よい」が一番のお気に入りって、どうよ自分(笑)。余白が減って漫画がたくさん収められているのは嬉しいんだけど、欄外の著者ツッコミが減ってしまったのは寂しい。な…

『ハートのしっぽ』

017 岩合光昭『ハートのしっぽ』(小学館) 岩合さんの写真は以前から好きだったが、本を買ったのは初めて。題名が気に入った! こんな島があるんですねー、いいないいな。親子で本を楽しんでます。

『“文学少女”と恋する挿話集(3)』

018 野村美月『“文学少女”と恋する挿話集(3)』(ファミ通文庫) 心葉くんと遠子先輩ふたりセットの出番が少なくてちょっと残念。でも、物語と物語の間のエピソードだけでなく、その後のエピソードまできちんとフォーローしてくれる作者の姿勢はすごくいい…

『猫を抱いて象と泳ぐ』

016 小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』(文藝春秋) 奇妙な人(や動物)ばっかり出てきて、でもそれらを紡ぐ作者の視線の何と暖かいこと。チェスを知らなくても、詩を読むようにその情景が頭に入ってくるのも、すごいと思った。

『少年になり、本を買うのだ』

015 桜庭一樹『少年になり、本を買うのだ 桜庭一樹読書日記』(創元推理文庫) いやあ、真摯で無邪気で果てしなくどん欲、「ほんとにほんとに読書が好き」という著者の姿勢がいいよなあ。読んでるこちらまで幸せな気持ちになれるエッセイ。堪能しました。 と…

『蝦蟇倉市事件(1)』

014 アンソロジー『蝦蟇倉市事件(1)』(東京創元社) 冒頭の地図を見ただけでもう、ワクワク。 道尾秀介「弓投げの崖を見てはいけない」うっまいなあ、かなりキワドい部分もあるけれど。最後の“三人の可能性”については、作者に指摘されるまで気がつかなか…

「アリス・イン・ワンダーランド」

原作は実は未読(^^;;;)。ディズニーのアニメを子どもの頃見たことあるので、おおよそのストーリーは知ってるよ、程度。 観る前は、“大人になったアリスの話ってどうなのよ?”って感じだったんだけど、これがなかなか(^^)。どこのドラゴンクエストだよ、…

「第9地区」

これは面白い!特に前半は大笑い(劇場内なので声には出しませんでしたが)。「○○詐欺」って!(笑)気はいいけれどヘタレな主人公も、差別への風刺が効いてるところもいいなあ。危機意識の薄さ故に怪我を負い、その部分から変体が始まるというような、スト…

「薔薇の名前」

「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」がお好きな方は、もう、ぜひぜひぜひ。20年以上も前にすでに、こういう凄い作品が作られていたんだなあ。セットは圧巻、俳優たちのアクの強さもいい意味で効いていて、見応えあり。「そ、そんな理由で‥」とは思いまし…

『花窗玻璃』

013 深水黎一郎『花窗玻璃 シャガールの黙示』(講談社ノベルス) 読み終わってみれば、あちこちに顔を出していた小道具が、上手く機能していたんだなあと。ランス大聖堂でなくては実行できないトリックも、なかなか。カタカナをすべて漢字で表記した作中作…

「NINE」

“ダメなモテ男と、その周りにはべる女たち”という、私の最も苦手とするストーリー(笑)。でもダニエル・デイ・ルイスが、これ以上はないだろうというくらい、マエストロ役を軽快かつチャーミングに演じていて、圧巻だった。女優陣では、アホだけどエロかわ…

刑事コロンボ「攻撃命令」

犬がかわいい〜(^^)。犯行方法も動機も最初の方で分かるんだけど、その手掛かりのちりばめ方が絶妙。映画マニアというのもツボだったな。

「時をかける少女」

原田知世版は‥(ごそごそ調べて)、そうか1983年かあ。当時映画館で観ました、懐かしい。で、これは1983年版「時かけ」の正当なる続編。だったら、芳山和子は安田成美じゃなくて原田知世をキャスティングしなくちゃダメじゃん、と思ったものの、そうすると過…

刑事コロンボ「悪の温室」

犯人も被害者も、たいして魅力的ではなかったなあ。犯人を特定する証拠も、見え見えだったし。部下のウィルソンがまんまと犯人のミスリードにハマる様は、笑った。

本は見た目が何割?

てっきりハンマースホイの絵だと思ったら、カバー見返しに見覚えのない絵が。おお、藤田新策さんのお仕事だったのか。ちなみに、ハンマースホイ本物の絵も口絵部分に掲載されていた。 この絵は可愛くて好きだなあ。あ、やっぱり牧野千穂さん。 だいぶ前に出…

「ハート・ロッカー」

いやー、胃がねじ切れるかと思ったよ。いつ爆弾が炸裂するかも分からない、極度の緊張状態に観客も置かれるのよね。終盤、ややテンポが乱れ失速した感があるのは惜しかったが、こんな男臭い映画を女性の監督が撮ったというのだから、驚いた(こういうことに…

『密室殺人ゲーム2.0』

012 歌野晶午『密室殺人ゲーム2.0』(講談社ノベルス) 『密室殺人ゲーム王手飛車取り』の続編が出ると聞いたときは、えっ、あの話の続きをどうやって?と思ったが、ふーむ、やはりこう来ましたか。さらに先を行く展開を、これだけよく考えつくなあ。 ところ…

『煙突の上にハイヒール』

011 小川一水『煙突の上にハイヒール』(光文社) 我孫子武丸さんがおススメしていたので、手に取った一冊。なるほど、現在の少し先を行くモノと、それを取り巻く人や環境を描くのが、とても自然で上手いのね。ちょっといい話だけでなく、「白鳥熱の朝に」の…

刑事コロンボ「死者のメッセージ」

犯人がとってもチャーミングで、動機も明確。ダイイング・メッセージが徐々に分かっていく過程はとてもワクワクした。欲を云えば、ミステリ作家らしく、犯行そのものがもっともっとトリッキーだったら良かったな。 秘書だけでなく弁護士にも気づかれているふ…